池田義博氏

「本を読んでも頭に入らない」という人は多い。そこで、 日本記憶力選手権大会で6回優勝した経験を持つ池田義博氏記憶力が提唱するのは、情報を素早く効率的に吸収し、確実に記憶へと定着させる効率的な読書法だ。本稿では、記憶術と脳力開発の第一人者である池田義博氏の動画「50歳でも記憶力はアップ! 加齢に勝てる脳トレ法」から、心理学的知見を応用した独自の読書法「フレームワークリーディング」の核心部分を特別に公開する。

本を読むときは、はじめに全体像を掴むのがコツ

 みなさんの中にも、「本を読んでも頭に入らない」「読んだはずなのに思い出せない」と感じた経験があるのではないでしょうか。原因のひとつは、情報を受け取る枠組み、つまりフレームワークが頭の中に用意されていないことです。

 枠組みがないまま学習を進めるのは、完成図を知らされずにパズルのピースだけを渡されるようなものです。どんな絵になるのかがわからなければ、ピースはただの断片でしかなく、やがて霧のように記憶から消えてしまいます。

パズルのピースだけでは記憶に残らない

 わかりやすい例を挙げましょう。家を建てるとき、最初にやるべきはしっかりとした土台を築き、その上に柱を立て、骨組みを作ることです。骨組みがあるからこそ、壁や屋根、窓やドアを取り付け、配線や配管を整え、家として機能するのです。

 学習や読書も同じです。先に情報の枠組みを作っておくことで、新しい知識が整理され、どこに位置づけられるのかが明確になります。その結果、記憶の定着が良くなるだけでなく、思い出しやすさも高まります。

 もう一つ例を挙げます。旅行をするとき、事前に旅程を立てておくと、現地での行動がスムーズになります。枠組みを持つことで知識が点ではなく線としてつながり、文脈を持ったストーリーとして記憶されやすくなるのです。