集中力を保ちたいなら、食事は「腹八分目」が正解

 次に、脳のリズムが低下している時間帯で効率を上げる方法について説明します。

 ここまで紹介してきた食事の時間帯を中心としてみると、食事後が集中力が低下する時間だと言えます。それは先程の生存本能を基準にして考えるとわかりやすく、食事で食欲が満たされれば危機意識が低下するからです。

 そうであるならば、そこから食事後も急激に脳の働きを低下させずにおくための工夫もできます。

 それは「満腹になるまで食べない」ことです。満腹になると、脳は生命を脅かす危機が去ったと判断し、集中力のスイッチを切ってしまいます。それを防ぐために、まだ食べたいという気持ちがあるところで食事を終え、脳にまだ多少の危機意識を残しておくのです。

 また、食事といえば、血糖値の問題もあります。前に、食事で糖をたくさん取ると急に血糖値が上がった後、血糖値が急に下がることにより脳の働きを低下させるという話を紹介しました。昼食後眠くなってしまう人はもしかすると糖の原料であるご飯などの炭水化物を食べすぎているのかもしれません。

 その意味でも炭水化物の量を控えることで食事後の血糖値が調整でき、脳の機能低下を防ぐことができます。

 昼食を工夫して急激な能力低下を防ぐことができたとします。しかし、まだまだ集中力を引き上げる工夫の余地は残っています。

脳のパフォーマンスを34%向上させるパワーナップの威力

 何かを決断したり、決定したりするときに必要な意志は、使うたびに消耗していきます。午前中のタスクをこなしてきた脳はやはり消耗しているのです。ここでこの消耗を回復させる秘策を紹介しましょう。

パワーナップをとると、脳のパフォーマンスが34%も向上するPhoto:PIXTA

 それが「パワーナップ」と名付けられている15分〜30分の仮眠です。ある研究ではパワーナップをとることで、何もしないときに比べて、脳のパフォーマンスが34%も向上することがわかっています。

 ただし寝すぎは禁物です。30分を超えて寝てしまうと、かえって疲労を増加させてしまうおそれがあるからです。

 それを防ぐには、パワーナップの直前にコーヒーなどでカフェインを取っておくことです。

 カフェインには興奮作用があります。しかし、すぐに効きはじめるわけではなく口に入れてから30分後に効果が表れます。これで寝すぎを防ぐことができます。