両首脳は公式会談に先立ち、控室でメジャーリーグのドジャース対ブルージェイズの試合をテレビ観戦していたのです。2人が談笑する様子は、ホワイトハウスがXに写真付きで投稿しています。英語コメントで、「なんて素敵なんでしょう!」「これこそ最高の二国間会談ですね」などと好意的な反応が多く寄せられています。

 この野球観戦と雑談タイムは、会談直前の雰囲気作りとしては非常に重要な意味があったと思います。また、大谷翔平選手や山本由伸選手ら日本人選手も活躍する試合を日米首脳が観戦する様子を世界に発信することは、「日本とアメリカが重要なパートナーである」ことを印象付けるものになっています。少なくともアメリカ国民に対しての高市首相の第一印象としては、成功と言えるのではないでしょうか。

「はしゃぎすぎ」「みっともない」
空母での喜びジャンプは賛否両論?

 その語の公式会談は通訳を介して行われましたが、この雑談タイムが2人の心の距離を縮めたであろうことは想像に難くありません。高市首相の度胸に裏付けられたコミュ力が発揮された場面は、その翌日、米軍横須賀基地での空母におけるスピーチにもつながっています。

 この場でも冒頭の挨拶のみ英語で、それ以降は日本語のスピーチを翻訳するスタイルでした。軍事に関連する高度にセンシティブなスピーチであり、その正確さを担保するためには、この方法がベストだったと思います。

 一方で、米兵らの拍手喝采を受けて高揚したからでしょうか、高市首相はジャンプしたり右手を高く突き上げたりしました。この振る舞いに「飛び跳ねたりはしゃぎすぎ」「コンサートにでも来てる気分でいるのか?」「日本人として恥ずかしい」「みっともない」などとSNSでは批判的なコメントも多く寄せられています。

 しかし、コミュニケーションというのはその場の雰囲気にうまく合わせることですので、ある意味アメリカンスタイルで自分の気持ちを周りにも伝えたいという姿勢の表れだと、私は受け取りました。