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思い出すと夜眠れない、手が震える。しかし上司に訴えると「クレームに耐えるのも仕事のうち」と言われてしまう……顧客に直に接する仕事は、カスハラで嫌な思いをすることも珍しくない。従業員はどこまで耐えなくてはいけないのか。会社は担当者を守るべきか?2026年10月施行の新ルールを踏まえて、社労士・カタリーナが解説する。
桜井さやか(27):大手ECサイトのカスタマーサポート部門に所属。丁寧な対応に定評があるが、最近は顧客からの暴言が続き、心身ともに疲弊している。
柳田明広(40):桜井の上司で、カスタマーサポート部門のチームリーダー。
電話口から飛んできた怒号
コールセンターの受話器から、突然、荒い声が響いた。
顧客「何回説明させるんだよ!お前、本当に仕事できないな!」
さやか「申し訳ございません。順番にご案内いたしますので……」
顧客「ふざけるな!アンタ名前なんて言った?会社にクレーム入れてやるからな!」
激しい口調にさやかの手が震える。メモを取ろうとしても、ペンがうまく動かない。
顧客「おい、ちゃんと聞いてるのか?上司出せよ!お前じゃ話にならないんだよ!」
通話が切れた瞬間、さやかは深く息を吸い、吐き出した。胸の奥がぎゅっと締めつけられ、目がにじむ。
さやかは席を立ち、上司である柳田のデスクへ向かった。
守りたいのに守れない……板挟みの現場リーダー
さやか「すみません……先ほどのお客様から、かなり強い言葉を受けてしまって……」
柳田は顔を上げ、少し困ったように笑った。
柳田「大変だったね。ああいうお客様、たまにいるんだよ」
さやか「正直、かなりきつくて……少し休憩をいただいてもいいですか?」
柳田「もちろん、少し休んでおいで。でもさ……クレームに耐えるのも、仕事のうちだからね」
さやか「……」
柳田「気持ちは分かるよ。僕も昔はよく怒鳴られたし。しんどいと思うけど、なんとか頑張ってみて」
さやか「……」
“頑張ってみて”。その言葉が、さやかの胸に重く沈んだ。胸の奥に溜まっていたものが一気にあふれ出しそうになる。
(共感してくれるのはありがたい。でも…守ってはくれないんだ。このまま続けたら、わたし、もう壊れてしまうかもしれない……)
その日の夜、さやかは意を決して、社労士・カタリーナのオンライン相談に予約を入れた。







