「完璧を求めるより、まず伝える」
英語に対する“呪い”を解くきっかけに
さらにいえば、雑談シーンこそSNSで世界中に拡散し、話題を呼ぶということです。首脳同士が直接コミュニケーションする様子を見て、一般市民がコメントし、さまざまな見解が醸成される。今の時代は、そうした流れが各国の友好関係のベースになり得るのです。
日本人は英語に対して「正解のある試験科目」と構えがちですが、あくまで言語のひとつに過ぎません。「相手と関係を築くためのツール」として捉えればいいのです。この観点で言えば、高市首相の英語発音を「ネイティブ並みとはとうてい言えない」などと論評すること自体あまり意味がないと思います。
むしろ、日本の英語教育やビジネス現場における、英語に対する“呪い”を解くきっかけになるといいなと思います。つまり、「完璧を求めるより、まず伝える」という意識の転換です。日本人は、日本人に完璧な英語を求めすぎると思います。
ビジネスシーンでも、オフィシャルな会議よりも雑談での印象が、相手の記憶に残ることがありますよね。高市首相は、相手に親近感を持ってもらうチャンスを意図的につくっていたと思います。戦略的なコミュニケーション力が垣間見えました。
これまでの首相外交は、通訳を介した形式的なやり取りが中心で、発言にリスクがない半面、印象が希薄になりがちでした。一方、高市首相は日本のトップ外交、発信スタイルに、新しい方向性を与えたと思います。まさに驚異のコミュ力で、雑談アプローチを持ち込んだことで、自身の存在感を高めました。
総じてスクリプト活用と雑談力が、現代のリーダーに求められる英語でのコミュニケーション力だと言えるでしょう。








