芸能人がスキャンダルをきっかけに活動休止をしたり、ときには引退することはこれまでもあった。ただ、松本ほど長年にわたって地上波に君臨した芸能人が、スキャンダル後に、有料課金サービス内のみで復帰するのは今回が初めてだろう。

 インターネットの配信サービスがここまで進化した(一方で、地上波やマスメディアの権威が昔ほどはない)現代だからこその復帰方法と言える。松本の復帰は、今後の「一時的に評判を落とした芸能人がいかに復帰できるか」の試金石となるかもしれない。

ネットの中でだけ
「復帰」するという選択

 課金した人のみが見られる配信サービスの中での復帰ではあるが、今後これが評判を呼び、「やっぱり松ちゃんはすごい」「なんだかんだ言ってもテレビに必要な人」という雰囲気が醸成されていけば、地上波での復帰もあり得るという見立てもある。

「DOWNTOWN+」は吉本興業がかなり力を入れて作り込んだコンテンツであることが見て取れ、松本の復帰を絶対に成功させなければならないという意気込みを感じる。

 前述した通り、インターネットの発展により、今は地上波に頼らずとも映像配信することができる。だから多種多様なYouTuber、インフルエンサーがいて、それぞれにファンがいる。

 また、マスコミが唯一の情報発信装置ではない現代において、一定層から大ヒンシュクを買っても、インターネットを駆使しての別の層へのアプローチで返り咲くことは可能である。ここでは実名を挙げないが、ここ数年で話題になった政治家の何人かを思い浮かべてほしい。

 無限に思えるほどの情報があふれる現代では、情報のどの出口にいるかによって見える世界がまったく異なる。逆を返せば、一定層から強く嫌悪されたとしても、一定数の顧客とだけマッチすることが可能なのだ。

 松本の起こした事件についての評価は、熱心なファンと批判派とで真っ二つに分かれている。