「ニッチトップ=小さくてもNo.1」の会社をご紹介する本連載。今回は5万人のクリエイターとパートナー契約を結び、映画・TV・ゲーム・Web・出版物等のコンテンツの企画・制作及び派遣を展開する株式会社クリーク・アンド・リバー社。全TV番組の約45%に同社スタッフが関わり、そのコンテンツ制作量はゲームタイトル数が約300、Webサイト数が約6,000、電子書籍が約15,000タイトルを誇る。また、アジアを中心に海外展開も積極的に行っている。同社代表の井川幸広氏に、その戦略を聞いた。
株式会社クリーク・アンド・リバー社
◎この会社のここがNo.1:コンテンツの制作本数でNo.1
◎事業内容:コンテンツの企画、制作、出版、ライツ・マネジメント業務など
◎設立:1990年3月
◎業績等:売上高:190億円、経常利益:10.9億、経常利益率5.7%、自己資本比率51.6%
◎本社:東京都千代田区麹町2丁目10番9号C&Rグループビル
◎ホームページ:http://www.cri.co.jp/
全テレビ番組の約45%の制作に同社のスタッフが関わる
――坂上:株式会社クリーク・アンド・リバー社の事業内容と、どのような点でNo.1なのかを教えてください。
井川:当社はクリエイターの方々と共に「エージェンシー」「プロデュース」「ライツ・マネジメント」の3つ事業を行っています。最も売り上げが大きい事業はエージェンシーの分野、次いでプロデュースの分野ですね。当社とパートナー契約を結んでいるクリエイターは約5万人。このクリエイターの登録数でNo.1ですし、当社が制作するコンテンツの数もNo.1です。
――坂上:クリエイターの派遣や紹介とは、どのような方をどこへ派遣するのですか。
井川:例えばディレクターをテレビ局へ派遣したり、Webディレクターを広告代理店に紹介したりしています。最近では、どの企業でも自社のホームページを持っていますので、ウェブ関連のクリエイター、ウェブデザイナーなどを一般企業へ派遣することも多くなっています。
テレビディレクターの場合、高い視聴率を上げられる有能な方でも、全員がテレビ局のプロデューサーから指示、命令を受けて作品をつくっています。彼らに作品をつくる場を提供するためには、テレビ局などに派遣できるポストや番組を数多く持っていることが重要です。現在、当社には700名のテレビディレクターがおります。多くの企業の中にクリエイティブな仕事ができるポストを確保しており、そこに当社とパートナー契約を結んでいるクリエイターが行って仕事をする、というイメージですね。
――坂上:ほぼすべてのテレビ局にスタッフを派遣しているということですね。
井川:そうですね。現状、日本のテレビ番組の約45%に当社のディレクターがかかわっています。実は、この分野に関しては韓国の方が進んでいます。韓国では約1,350名の当社スタッフが、全番組の約85%に関わっています。
――坂上:パートナー契約数は、同業他社と比較してどれくらいの差があるのでしょうか。
井川:実は、競合といわれる企業はほとんどありません。ただ、ある部分は競合となるものの、別角度から見ると補完関係となっていることが少なくありません。ただ、当社は1,000社のプロダクションとパートナー契約を結んでいます。そのため、ある番組では競合となっても、他の番組では協力して作品を制作している、ということが多くあります。当社は業界内ではアメーバのような存在ですので、そもそも比較をする同業他社がありません。