日本のベストセラー書籍を世界へ配信
――坂上:御社が行っている3つの事業、「エージェンシー」「プロデュース」「ライツ・マネジメント」のうち、最も伸びているものはどれでしょうか。
井川:「ライツ・マネジメント」の事業です。プロの方が持つ知的財産権というのは、その方が仕事を通して積み上げた財産のはずなんです。しかし、今まではその財産をただ抱えているだけで、ほとんどお金に換えることができていませんでした。たとえお金に換えるチャンスがあったとしても、そのエリアは日本国内だけ。ですから、知的財産権をもっとお金に換えていくための仕掛けや、インフラ、サービスを提供したいと考えています。この分野はまだ開拓の余地がありますので、我々が率先してやらなくてはならないと考えています。
――坂上:具体的にはどのような戦略を描いているのでしょうか。
井川:最も力を入れているのが、ベストセラー書籍の海外販売です。デジタル技術が発展したおかげで、自分の本を世界に向けて簡単に配信できる環境が整っています。しかし、日本語という制約があるためにそれができない。私たちは、日本の作家が世界で活躍する舞台と、チャンスをつくっていきたいと考えています。
3年前、我々は日本でヒットした書籍を中国の出版社に持ち込みました。膝を突き合わせ、一つ一つの本を丁寧に編集者に説明すると、非常に興味を持ってくれました。当時、中国国内でも販売されている日本の書籍は、年間1200冊ほどしかありませんでした。しかし我々が出版社に売り込むと、半年間で1500冊のオーダーが取れたんです。その半年の間に、日本の小説や文芸書、実用書は世界で通用するだけのクオリティを持っているんだと確信しました。現在は、中国、韓国、台湾へ、日本の良質な本を世界に広げていくプロジェクトを考えています。
――坂上:まずはアジアである、中国、韓国、台湾の3ヵ国で行うのが第一段階。それから電子化という形でさらに世界へ広げていく、と。これは日本語の本を英訳して世界中で配信する、ということでしょうか。
井川:各国で大きなシェアを持っている会社と、提携を進めていくイメージですね。国によって電子書籍のシェアが高い企業は違います。中国の場合、「漢王」という電子書籍リーダーが70%のシェアをもち、世界で第二位のマーケットとなっています。当社は、その漢王と独占契約を結んでいます。
翻訳の問題もあります。著者の文体まで上手く翻訳できる優秀な翻訳家は、それほど多くはいません。単に電子書籍のプラットフォームと提携すればいいというわけではなく、併せて能力の高い翻訳家のネットワークを構築することが重要です。さらに、各国のマーケティングを行える編集者と連携する必要もあります
プラットフォーム、翻訳者、編集者。この3つを上手く重ねることで、今まで日本でしか販売、管理できなかった著作を海外でも展開できるようになるんですね。そうすることで、日本のファンより海外のファンの方が多い作家も出てくるかもしれません。そんな世界をつくりたいとの思いで、ライツ・マネジメントに取り組んでいます。
本連載は今回で終了します。
プロフェッショナルの人たちの「困った」を解決し「プロフェッショナルの生涯価値の向上」を目指そうとした理念がクリークアンドリバーの始まりです。
人の困った、世のなかの困ったを解決するサービスこそがイノベーション、誰もやっていないからこそ、やればあっという間にNo.1になれる。No.1戦略とは、人の困ったの解決にあるのかもしれません。
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