「志望校を上げる」ではなく、「志望校を再検討する」

――たしかに。学ぶ内容はまったく異なる可能性がありますよね。

びーやま:そうなんです。でも、それって本末転倒じゃないですか。やっぱり大学は専門的なことを学ぶ場であって、興味や関心がないと厳しいですから、偏差値だけ見て志望校を上げようみたいなのは危険だと思うんです。

――よく理解できました。一方で、浪人したことによって志望校を上げてもいいケースなどもあるのでしょうか。

びーやま:ありますね。

 ただ、その場合も「志望校を上げる」というよりも「志望校を再検討する」という考え方が適切かもしれません。

 たとえば、部活動などで勉強のスタートが遅れた学生などは、現役時の志望校決めも結構バタバタ決めてしまいがちです。「とりあえずMARCHの経済学部」「とりあえず日東駒専以上の法学部」みたいなケースは多いのですが、それぞれの大学で特色はまったく違いますから、あらためて行きたい大学を考えるのは、かなり有効な手かなと。

 やはり、「なんとなく」で大学を選ぶのと「この大学に行きたい」と大学を選ぶのでは、真剣度も変わってきますし、具体的な戦略も変わってきます。意識ひとつで合格確率が変わるのが受験のいいところです。

――「志望校の再検討」、意外となかった発想です。

びーやま:ですよね。「再検討」と言うくらいですから、人によっては志望校の偏差値が下がることもあると思うんですが、それもいい選択だと個人的には思います。

 時間ができて、大学のことをいろいろ調べてみたら「この大学のこの学部がおもしろそう」みたいなのってあっていいじゃないですか。その大学がまったく勉強を必要としないFラン大学などだと、浪人した意味が薄れてしまうのでさすがに避けるべきですが、一定の偏差値以上であればバランスは取れるかなと。

 いずれにしても、「浪人したから志望校を上げる」というのは、自分が納得していなければ見栄でしかありません。「志望校を上げてみたい」、「せっかくなら上を目指したい」みたいな積極的な思いがないのであれば、自分の行きたい大学をそのまま目指しましょう。

「浪人なのに◯◯大学なの?」みたいな空気は皆さんの人生になんの影響も与えないので、好きな大学に行くことが大切です。

――ありがとうございました。大変勉強になりました。

※1:本記事ではびーやま氏、もしくは編集部宛に届いた悩みを扱っております。
びーやま[著]
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』のツッコミ担当。早稲田大学教育学部卒。高校時代の偏差値は37だったが、1年間の浪人を経て早稲田大学に入学。大学時代は起業・自主退学・復学など、さまざまな経験をしたのち、大学受験のすばらしさに気づき現在に至る。甘いルックスと鋭いツッコミ(たまにポンコツ)で視聴者の心を掴んでいる。決め台詞は学歴モンスターの相方・高田ふーみんを制止する「ヤメロオマエ」。

高田ふーみん[協力]
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』にて「学歴至上主義」を貫く学歴モンスター。京都大学経済学部中退(現役合格)。学歴を絶対の価値基準とする偏った思想を持つヒール役として受験生や大学生を中心に人気を博している。決め台詞は「Fランやないか」。