市販の忌避グッズにクマはすぐ慣れる
「草刈り」「戸締まり」がもっとも確実
クマ侵入への防犯対策として重要なのは、草刈りをして見通しを良くすること。
クマは身を隠しながら接近するため、草木が茂る環境では容易に人家の近くまで近づけてしまう。見通しを確保して“身を隠せない環境”をつくるのが、地味だが一番効果的な方法だという。長野県箕輪町では、町をあげて草刈りを徹底したことで、目撃件数が顕著に減っている。
2025年10月18日、犬の散歩中の女性が襲われた群馬県みなかみ町の現場。山裾に繋がる左手、建物の間の細い道からクマが飛び出してきた 撮影:風来堂
2023年6月16日、島根県邑南町で男性が襲われ失明した現場。だんだん畑から続く斜面のヤブからクマが飛び出してきた。畑は住宅のすぐ裏だった 撮影:風来堂
また、基本的な戸締まりの徹底と食料の保管場所の工夫も欠かせない。
「クマは、食べ物に対して非常に執着心が強く、家の中に餌があると学習されれば、何度でも入ってきます」と山内准教授は警鐘を鳴らす。
ちなみに臭いや音、光などを使った市販の忌避グッズは一時的な効果はあっても、クマはすぐに慣れてしまうという。
「本当は、電気柵のように“罰を与える”仕組みが一番効果的ですが、住宅地では現実的に難しい。だからこそ、草刈りと戸締まり、この2つがもっとも確実です」(山内准教授)
家のまわりにクマを寄せつけないこと、そのためにできることは、意外にもシンプルだ。
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