自分の時間がない。職場の頼まれごと、家事と家族、休日は動画の自動再生に飲み込まれる――そんな散漫に疲れていませんか。40代以降は外から内へ重心を移す時期です。誰にも邪魔されない静けさを、どこで取り戻せばいいのでしょうか。
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

人生を楽しむ秘訣は、孤独を友にすること

ひとりの時間を楽しむ

人生を楽しむ秘訣は、
孤独を友にすること。

――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より

誰もが自分だけの時間を望むのに、職場では会話や依頼や会議に追われ、家に戻れば家事と家族の用事で一日が埋まる。

休みの日でさえ、動画やテレビをつけっぱなしにしながら、スマホを離さず音と情報の洪水に気力を削られてしまう。

大衆音楽や刺激的な記事は便利だが、神経を必要以上にかき立て、注意を散らす。

若い頃は、ひとりでいると心細く、誰かと予定を埋めることで安心を得た。

20代30代は、人と出会い経験を広げる大切な季節だが、40代になると少しずつ余裕が生まれ、選ぶ力が育つ。

ここからは、外に散った重心を内側へ戻し、自分にとって大事なことへ静かに集中したい。

外に重心があると、出世や名誉やイベントの数で心が揺れ動く。

内に重心があると、ひとりの時間を確保し読書や芸術や哲学のような精神の糧に注意が向く。

それは世間の喧騒から離れた楽しみだが、空白を豊かにする確かな習慣でもある。

人との予定を少し減らし、本を手の届くところに置き、好きな音楽を静かに流しながら、自分の考えを言葉にしてみる。

機会があれば、美術展やコンサートに足を運び、最高の作品に心を預け、日常のざわめきを一時忘れる。

ときには一人で山道を歩き、息づかいと足音に耳を澄ませ、自分の輪郭を確かめ直す。

孤独は拒絶ではなく、内側の温度を保つための友であり、選択を整える作業台でもある。

40歳を過ぎたなら、誰にも邪魔されない静かな時間を毎日に少しずつ組み込もう。

その小さな余白こそが、外界の評価に左右されない楽しさを育て、人生の重心を静かに内へと戻してくれる。

(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)