ほとんどの国で、パート労働は質の悪い働き口という見方が優勢になっている。低賃金の場合が多く、雇用も不安定だ。労働組合がない、もしくは、あっても代表性が弱くて保護を期待できない。雇用保険が適用されない作業場で働くパート労働者も少なくない。
非正規で働いた瞬間に
正規雇用の道が断たれる韓国社会
韓国の状況はどうだろうか。労働市場において、低賃金の女性労働者の地位は低い。非正規職だった女性が、より良質の働き口へと移動することは、事実上不可能である。
スウェーデンの場合、女性の雇用が社会のサービス分野に集中しているせいで職務分離現象が激しい反面、公共部門から社会サービスが提供されるから、低賃金の女性労働者であっても、比較的寛大な福祉政策や労働組合の恩恵が受けられる。
韓国の場合、サービス部門に女性が進出しているという点は同じだが、スウェーデンのように良質の働き口とは言いがたい。女性の割合が高い職業群は、ほとんどが非正規職である。1997年のアジア通貨危機以降、非正規職と正規職の賃金格差も広がった。そのことが女性の賃金を引き下げる結果となり、性別賃金格差を深刻にしている。
韓国社会において、正規職か否かは職の質を計る重要な指標である。月給が低くても、求職者は非正規職より正規職の働き口に就こうとする。そうした状況にあって、2013年の朴槿恵(パク・クネ)政権以降、政府が打ち出す女性の雇用政策には「パート労働(時間制労働)の職の拡大」という文言が登場し続けている。
「子どもを持つ母親はパートでの仕事を好む」というニーズ調査によるものか、あるいは、スウェーデンのような国で、女性たちが子どもの小さいうちは労働時間を短縮して働ける制度を積極的に活用している事例を見て政策の移植を目指したのかは不明である。
しかし、現時点でのパート労働の拡大は、韓国の女性たち、特に高学歴女性たちにとって効果は低い。
韓国でのパートの働き口は大部分が非正規雇用であり、一度パート雇用に足を踏み入れたら正規雇用への復帰が難しくなるという状況では、高学歴女性の労働力が浪費される現象だけが深刻化しかねない。
韓国の大学進学率は、1980年代から2016年まで、男女とも似たような水準で増加している。だが経済活動への参加率は、男性に比べて女性が低いままなのだ。







