その結果、試験開始時の身体活動量とAβ蓄積の進行速度との間に有意な関連は認められなかった。一方で、身体活動量が多い人ほど、認知機能や日常生活機能の低下速度が緩やかになる傾向が確認された。高い身体活動量と認知機能の低下速度の鈍化との間には独立した関連も認められた。

 次に、身体活動と認知機能および日常生活機能の低下との関連がタウ病理に媒介されているかを検討した。その結果、高い身体活動量は、Aβ負荷が高い人におけるタウ蓄積速度の上昇を抑制していることが明らかになった。また、高い身体活動量とタウ蓄積速度の鈍化との間には独立した関連も認められた。

 さらに、身体活動量とタウ蓄積、認知機能および日常生活機能の低下との関連について検討した。対象者は1日の歩数に応じて、非活動的(3000歩以下)、低活動量(3001〜5000歩)、中活動量(5001〜7500歩)、高活動量(7501歩以上)の4群に分類された。

7501歩以上の歩数では
改善効果は頭打ちとなった

 経時的な変化に関する解析では、非活動的な群に比べて、低・中・高活動量の全ての群で、Aβが多い人におけるタウ蓄積、認知機能、日常生活機能の低下速度は有意に遅いことが示された。

 量反応関係の解析からは、活動量を増やすほどタウ蓄積、認知機能、日常生活機能の低下速度が有意に鈍化するものの、それは1日の歩数が7500歩までであり、7501歩以上の歩数では改善効果は頭打ちとなった。

 Yau氏は、「われわれは、より良い治療法やより良い薬の開発に取り組んでいるが、脳の健康を守るために自分で実践できるこれらの生活習慣要因の価値を過小評価することはできない」とSTAT Newsに語っている。

 ただし、この研究は観察研究であるため、運動がアルツハイマー病を直接予防することを証明するものではない。それでも専門家らは、運動は「修正可能なリスク因子」であり、脳の健康増進のために変えることができることを示す研究が増えていることを裏付ける研究成果だとの見方を示している。(HealthDay News 2025年11月4日)

https://www.healthday.com/health-news/neurology/5000-steps-a-day-may-help-protect-the-brain-from-alzheimers-study-finds

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