「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなアプローチで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高い評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書のポイントをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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ボリンジャーバンドを活用したトレード
株価チャートには、色々な指標がありますが、窪田さんがファンドマネジャー時代に最も重視していたのが、「ボリンジャーバンド」だと言います。
ボリンジャーバンドは、ボラティリティ(=株価変動の大きさ)をもとに、上下2つの線を描くテクニカル指標です。
相場が静かなのか、トレードが活発なのか、その変化を読み取ることができます。
2本のバンド幅が狭ければ、ボラティリティが小さいことを意味しています。バンド幅が広ければ、ボラティリティが大きいことを示します。
つまり、相場が荒れてトレードが活発になるとバンドが広がり、相場が静かになってくるとバンドが狭くなります。
ボリンジャーバンドをどう使うか?
では、私たち個人投資家は、このボリンジャーバンドをどう使えばいいのでしょうか?
窪田さんが強調するのは、次の一点です。
ボラティリティ拡大の初動に乗る。
1. 買いシグナル
バンド幅が狭い状態から一気に広がり、株価が上側のバンドを抜けた瞬間が「買い」のシグナルです。
それまで動いていなかった相場が急に活発化している状況です。つまり、新しい材料が出て、多くの投資家が買いに来ていることがわかるのです。これが上昇トレンドの初動です。
2. 売りシグナル
反対に、バンドが急拡大し、株価が下側のバンドを割り込むケースが、「売り」のシグナルです。
それまで静かだった相場から、一気に売りの勢いが強くなっていることを示しています。
チャートを見てみよう
では、一例として『株トレ』に掲載されているチャートで考えてみましょう。
ここに示したチャートは、週足のローソク足に、13週移動平均線とボリンジャーバンドを重ねたものです。
さて、あなたならこの相場でどう動くでしょうか?
売り? 買い? それとも様子見?
『株トレ』より
窪田さんは、このチャートは「買い」と判断すると言います。
狭いバンドが拡大し、株価が上方向に飛び出していることがわかります。
ボラティリティが急に高まり、相場が動き始めています。さらに、売買高が増え、ローソク足は大陽線です。
これらを総合すると、「これまで静かだった銘柄に好材料が出て、多くの投資家が一気に買い向かっている」という状況が浮かび上がります。
まさに、上昇トレンドの初動に立っている可能性が高いのです。
投資判断は迷うものですが、こうしたシグナルを理解しておくと、「どこで買うべきか」という悩みに、ひとつ明確な軸を持つことができます。



