あなたがチャートを見つめているその瞬間、プロは何を考えているのか? 『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』は、その思考をクイズ形式で体感できる一冊です。発売以来、投資初心者からベテランまで、熱烈な支持を集めています。著者は、日本株のファンドマネジャーとして2000億円超を運用してきた楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書に登場する「勝てるチャートの読み方」を紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株価だけ見ていたら一生わからない。儲かる株を見抜く1つの視点Photo: Adobe Stock

売買高は人気のバロメーター

 株価チャートを解説する本の中には、「ロウソク足の形」や「ダブルトップ・ダブルボトム」「ゴールデンクロス・デッドクロス」など、チャートの形ばかりに注目するものは少なくありません。

 しかし、『株トレ』の著者・窪田真之さんは、こう言います。

「株価チャートを見る時、株価だけでなく、いっしょに売買高の変化を見る習慣をつけましょう。売買高の増加、あるいは減少に重要な情報が含まれているからです。」(『株トレ』より)

 つまり、「株価」と同じくらい「売買高」が大切だということ。売買高には、投資家たちの「注目度」や「人気の流れ」が表れます。

 ・売買高が多い=人気が高い
 ・売買高が少ない=人気が低い
 ・売買高が増加している=人気が高まりつつある
 ・売買高が減少している=人気が低下しつつある

 人気の移り変わりをとらえることが、トレンドをいち早くつかむヒントになります。

株価はこう動く――「逆ウォッチ曲線」の法則

 窪田さんは、株価と売買高の関係を「逆ウォッチ曲線」という形で解説しています。

「①安値圏で閑散」「②安値圏で売買増加」「③高値圏で大商い」「④高値圏で売買減少」→(再び①へ)

 次の図のように動くことが多く、逆ウォッチ曲線と呼ばれます。

株価だけ見ていたら一生わからない。儲かる株を見抜く1つの視点『株トレ』より

 安値圏で売買高が増えてきたら、人気が高まりつつある兆候。

 高値圏で売買高が減り始めたら、勢いが衰えてきた兆候。

 つまり、株価だけでなく、売買高の変化を読むことで、投資家たちの心理の転換点に気づくことができるのです。

チャートに表れる投資家たちの心理

 では、『株トレ』に掲載されているチャートを見てみましょう。

 次の2つの株価チャートを見て、あなたなら、どちらの株を買いますか?

株価だけ見ていたら一生わからない。儲かる株を見抜く1つの視点『株トレ』より

実はこの2社のチャートは…

 実はこの2社、どちらも「逆ウォッチ曲線」をなぞるように動いています。1つのチャートを切り分けて掲載したものなのです。

株価だけ見ていたら一生わからない。儲かる株を見抜く1つの視点『株トレ』より

F社のチャートを見ると…

 F社を見ると、株価は下落し、売買高は減少しています。

 逆ウォッチ曲線に当てはめると、「④高値圏で売買減少」のゾーンにあります。

G社のチャートを見ると…

 G社のチャートを見ると、株価が上昇し、売買高は増加しています。

 逆ウォッチ曲線に当てはめると、「②安値圏で売買増加」のゾーンです。

 安値圏から、売買高の増加とともに株価が急騰したところが「買い」。高値圏で売買高が減少し、株価が下落したところが「売り」のタイミングです。