「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなアプローチで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高い評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書のポイントをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株で資産を増やせる人に共通する「合理的すぎる2つの考え方」Photo: Adobe Stock

(1)損切りが早く、利確は遅い

 私たちは「利益を失う恐怖」と「損失を認めたくない心理」に弱い生き物です。しかし、トレードが上手な人たちは、この感情と上手に距離をとることができます。

 特に「この会社は優れた技術を持っている」「SNSでも注目されている成長企業だ」といった先入観が強い人ほど、チャートに明確な売りシグナルが出ていても、それを無視してしまいがちです。

『株トレ』の著者・窪田さんは、こう言います。

「失敗銘柄を早めに損切りすることが、高成長銘柄で稼ぐための条件です。成長期待企業の、成長ストーリーが崩壊していることに気づくには時間がかかります。失敗銘柄が失敗銘柄だと、はっきりわかった時は、株価は暴落して大けがした後です。そうなる前に、“なんか変”と思う段階で、すばやく損切りすることが必要です」​(『株トレ』より)

 つまり、「損切りを早く」――これが勝ち続ける投資家の鉄則です。

 一方で、上昇トレンドにある銘柄はできるだけ長く持ち、利確を急がない。この「損小利大」の姿勢こそ、資産を増やすための合理的な行動なのです。

(2)買った価格に関係なく、「売るべきものを売る」

 もう1つの重要な考え方は、過去の判断に引きずられないことです。チャートで売買する以上、根拠は常に“今この瞬間”の相場にあります。

 窪田さんは言います。

「どんな買いシグナルも、直後にそれを打ち消す強い下落があれば、強い売りシグナルに変わる」​(『株トレ』より)

 たとえ絶好の買いシグナルでエントリーしても、直後に悪材料が出て暴落することはあります。「100%勝てるトレード」は存在しません。

 多くの人が「せめて買値に戻ってから売りたい」と考えますが、相場はそんなに都合よく動きません。

 株で勝つ人は、買値ではなくチャートを見て判断します。「売るべきもの」は冷静に手放し、次のチャンスに備えるのです。

 下降トレンドに入った株は、含み損がさらに膨らむリスクがあります。「戻るかもしれない」と期待するより、損切りして上昇トレンドの銘柄に乗り換えたほうが、はるかに合理的です。