いま世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっているのが『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書についてライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【年の瀬の悪習】三流は「無限にスマホをスクロールし」、二流は「情報を追いかける」。では一流は?Photo: Adobe Stock

脳を最も疲れさせる最悪の習慣

 年末年始。
 実家に帰省し、久しぶりに会う家族と食卓を囲みながら、ついスマホを手に取る。
「ちょっとLINE返すね」と言いながら、気づけばネット検索にInstagram…。

 こたつに入りながら、指先は動き続け、気づけば30分。
 読んだはずの記事も、見たはずの動画も、5分後には思い出せない。

 体は実家にいながらも、意識ははるか彼方にいる。
 せっかくの休みなのに、スマホ見ていただけで終わってしまった。

 そんな年末年始を過ごす人は多いのではないだろうか。
 実は、この「何も見ていないのに、ずっと見ている状態」こそが、脳を最も疲弊させる最悪の習慣なのだ。

世界的ベストセラーの教え

 この年末も日本で話題となっている、全世界150万部突破のベストセラー『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントン(行動心理学修士)もこう述べている。

どんな解決策も、どんな幸せも、どんな洞察も、どんな有益な行動も、1つの場所にしかない。
それは、「今ここ」だ。
だから、私たちは意識を「今ここ」に向けるべきなのだ。

――『STOP OVERTHINKING』(P.239)より

 スマホを見ている時間、私たちは「今ここ」にいない。
 情報を得ているようで、実は何も得ていない。
 頭は常に「次の刺激」を探し続け、目の前の瞬間を素通りしている。

 無限スクロールは脳を「報酬を探し続ける状態」にし、休息どころか疲労を蓄積させるという。

 過去も未来も、実は今には存在しない。
 私たちが本当に生きられるのは、今この瞬間だけ。

 年末年始という特別な時間も、今の積み重ねでしかない。
 その今の時間を、スマホを触っているうちに溶かしてしまったら、どれだけ長い休みも、あっという間に消えていく。

「三流」「二流」と「一流」は何が違う?

 スマホをちょっと横に置いてみる。
 ウソみたいな話だが、たったそれだけで景色が変わる。

 デジタルデトックスは「スマホ禁止」ではなく、「スマホを見ない5分間」をつくることから始まる。

 母親の話を聞く間だけ、スマホを裏返しにしておく。
 初詣でおみくじを引く間、ポケットにしまう。
 それだけで、その瞬間が特別な時間になる。

 スマホは便利だが、それは「今この瞬間」の代わりにはなりえない。
 画面の中にどれだけ情報があっても、目の前の時間に勝るものはない。

 三流は「スマホを無限にスクロール」し、二流は「情報を追いかける」。
そして一流は、「今を味わう」のだ。

 本当に必要なのは、意識を「今ここ」に戻す習慣だ。

 本書を読んで気づいたのは、時間を味わう力こそが心を整えるということだ。
 ほんの数分でも、「今ここ」を意識できれば、新しい一年の始まり方はきっと変わる。

(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)