今じゃ放送できないドリフ「禁断のネタ」とほとんど知られてない「幻の番組」とは?「ドリフ大爆笑」の前身、「8時だョ!全員集合」の収録風景。左からいかりや長介、加藤茶、仲本工事、高木ブー、志村けん(撮影日1981年02月18日) Photo:JIJI

60年間で唯一のスランプ期とは?
原因は、志村といかりやが…

 2024年に結成60周年を迎えたドリフは、実に順風満帆に活動してきたと思われている。しかし、昭和の時代から熱心なドリフウォッチャーであった桜井氏は、1980年代後半から90年代前半の数年間が「唯一のスランプ期だった」と指摘する。

「1985年に『全員集合』が終了した後、ドリフがコントを披露する番組は『大爆笑』だけになっていました。でも、この期間は大爆笑とは言えないコントしかできない時期だったと思います」

「原因は、志村といかりやが共演するコントがなくなったからでしょうね。その裏でいかりやは、焦りが原因なのか、やけに甲高い声を出すようになって空回り気味。志村も『Switch』という雑誌の1991年11月号で『今のいかりやさんは面白いとは思わない』と発言するほどでした」

 時代は新しい笑いを求め、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンなど、コントからロケ、フリートークまで幅広くこなせる芸人たちが台頭していた。とはいえ幸いにも、ドリフの番組視聴率はさほど下がらなかったという。

「視聴者は面白い時のドリフを知っているから、期待して見ちゃうんですよ。その期待感のおかげで視聴率は大幅に低迷することなく、何とか『大爆笑』は延命できた。そして、1994年に5人そろってのコントを再開したころから、かつての勢いが戻りました。観客を入れた状態でのコントも収録するようになると、以前にも増して大爆笑を誘うコントを見せるようになったと思います」