明石家さんまや松本人志も納得?
「ベタな笑い」の真価とは

 ドリフはなぜ長く愛され続けているのか。それは、「何度見ても面白いコント」が多いからだろう。過去の作品をまとめた特番で、既知のコントを見ても笑いが込み上げてくる。桜井氏は、『大爆笑』のテーマソングにその思いが込められていると話す。

「番組のオープニングで、『兄さん姉さんパパにママ、じいちゃんばあちゃんお孫さん』と全世代に愛されるお笑いを届けることを標榜しています。どの世代にも分かりやすいネタや、志村のバカ殿を代表する、親しみやすい名物キャラが多い。世代や性別を越えた笑いなので、時代も越えて、昔のコントでも笑ってしまうんです」

 また、かつては尖った笑いを披露していた芸人も、年齢を重ねると「ベタな笑い」を取り入れる傾向にある。桜井市は、「ドリフ流ベタの笑い」をこう解説する。

「明石家さんまや松本人志も、今になって結局ベタが面白いという旨の発言をしています。思うに、ずっとベタをやっているドリフは『笑いのふるさと』みたいな、安心して帰ることができる場所ではないでしょうか。どこかホッとする笑いで安心したい。そんな思いに応えるために、ずっとベタを貫いているんだと思います」

 ドリフのメンバーで現在も活躍するのは、加藤茶と高木ブーの2人。昭和から平成、令和へと時代が移り変わっても、テレビでバカをやり続ける姿は、世代を超えて視聴者の記憶に刻まれてきた。そんなドリフの今後について、桜井氏は静かにこう語る。

「たとえ全てのメンバーがこの世を去っても、ドリフは人々の心に残るでしょうね。まるで国宝のように、その勇姿は次の世代へ受け継がれていくと思います」

 桜井氏の言うように、ステージの上で転げまわる大人たちの姿は、今後も繰り返し再生され、新しい世代の「笑いのふるさと」であり続けるに違いない。