写真はイメージです Photo:PIXTA
高市首相の発言をきっかけに、中国と台湾の関係に興味を持つ人が増えている。その台湾で「台湾が将来こうなるのではないか」というモデルとして注目されているのが、香港の政治状況や選挙制度だ。香港の選挙制度は2021年の選挙時に大きく変更されている。今年12月7日の投票日を控え、本格的な選挙戦が始まると共に、水面下でさらに大きなルール変更が進んでいるようだ。中国との関係に大きく翻弄される、香港のドタバタ選挙事情とは。(フリーランスライター ふるまいよしこ)
12月7日の香港議会選挙、民主派立候補者はほぼゼロ
香港で今年12月7日に投票が予定されている、最高議決機関「立法会」の議員選挙の立候補申し込みが締め切られ、本格的に選挙戦が始まった。
前回2021年の選挙では、それに先立って中国政府がそれまでの選挙制度を大きく書き換え、「愛国者治港」(愛国者による香港統治)を掲げて、候補者に対して、「国や香港の政府に忠誠を誓う」誓約書への署名を義務付けた上、その「本意」を行政長官らによって構成された審査委員会が審査するという手順まで導入された。さらに、大手企業や業界団体、親中団体からの代表で構成される「選挙委員」を創設し、立候補にはその一定数メンバーからの推薦を必須とした。つまり、新選挙制度では当局にとって好ましくない人物は門前払い。議会は骨抜きにされたも同然である。
選挙制度の改変のカラクリについては同年8月に書いた記事を参照していただきたいが、その結果、民主派や庶民が個人的に立候補する手段は完全に塞がれた……というか、身の危険を犯してまで出馬する人はほぼいなくなってしまった。現実問題として、立候補を目指していた民主派のほとんどは「香港国家安全維持法」(以下、「国安法」)違反容疑で選挙前に根こそぎ逮捕されてしまったからだ。
つまり、4年前の「愛国者治港」初回バージョンが任期を終え、これからバージョン2に入るところと言っていい。
バージョン1とバージョン2で大きな変化はあるのか?それを、選挙をめぐって巷をにぎわせた話題からお伝えしたい。







