目の前の相手が「仕事を任せられる人か」「ダメな人か」を見破る“すごい質問”

「職場でのモヤモヤ・イライラが消えた」
「自分のチームが好きになった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4500社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「数字に強くなれる」「仕組みで解決できる」という思考法を授ける本シリーズは、さまざまな企業・業界・個人から圧倒的な支持を集めている。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。（構成／ダイヤモンド社・種岡健）

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目の前の相手を見破りたい

　リーダーとして人を見極める力は、チームの成果を左右します。

　特に「仕事を任せられるかどうか」の判断は、育成、配置、評価の起点になります。

　しかし、表面的な受け答えや印象に惑わされてしまい、実は何もできない人を重用してしまうことも珍しくありません。

「経験」ではなく「反応」

　人を見極める際、多くのリーダーが「経験」「実績」「熱意」に注目しますが、これらは必ずしも有効な判断材料にはなりません。

　というのも、経験や実績は「過去」のものであり、再現性や応用力があるかは分からないからです。

　そこで、より実用的なのが「反応を見る質問」です。

　たとえば、次のような質問をしてみましょう。

「この業務をお願いしたいのですが、進める上でどんな点が不安ですか？」

　この問いに対して、任せられる人は、すぐにポイントを整理しながら自分なりの不安点や確認事項を挙げてきます。

「◯◯の優先順位」「◯◯の確認が必要」といった具合です。

　一方、任せられない人は、こう答えることが多いのです。

「特にありません」
「とりあえずやってみます」
「大丈夫だと思います」

　これは一見前向きな姿勢に見えますが、問題を具体的に想定できていない証拠です。
　仕事に対して「具体的にどう進めるか」「どんな壁があるか」をイメージできていない人は、実務の中でつまずき、途中で止まってしまう傾向があるのです。

「思考の言語化」の重要性

『リーダーの仮面』という本では、次のように書きました。

自分の頭の中で考えていることを、言語化して外に出す。
これができないと、どんなに仕事ができてもリーダーにはなれません。
――『リーダーの仮面』より

　この「言語化力」こそ、仕事を任せられる人を見極めるポイントです。

　曖昧な返答をする人よりも、たとえネガティブな意見でも具体的にリスクや方針を語れる人のほうが、成果につながる動きができます。

　逆に言えば、「質問に対して何も出てこない人」「安心だけを強調する人」には、重要な仕事を任せてはいけません。

「反応」に本質が出る

　相手のポテンシャルは、突発的な質問にどう反応するかでよく見えてきます。

「何が不安ですか？」という質問は、リスク感知力、思考力、言語化力、行動の構え方など、多くの要素を一度に炙り出せる、非常に優れた問いです。

　任せるべき人かどうかの見極めに悩んだら、ぜひこの「すごい質問」を活用してみてください。

　そして、リーダー自身がこの問いを使いこなすには、自らも思考を言語化し、他者に明確に伝える力が求められます。

　そう、リーダーは仮面をかぶりましょう。仮面とは、感情ではなく役割で人に接するという姿勢です。
　その覚悟があるかどうかが、部下を活かせるかどうかの分かれ道なのです。

（本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです）

安藤広大（あんどう・こうだい）
株式会社識学代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4500社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計178万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』（ダイヤモンド社）がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。