スポーツや音楽ならばクラブ活動が充実しているほうがいいでしょうし、英語をやりたいならばネイティブ教員や帰国生がたくさんいる学校のほうが、刺激があるでしょう。

 理科が好きなのに実験室が貧弱だったら楽しみが半減しますよね。学校と子どもの興味をうまく繋げてあげるってことだと思います。このように、学校の外形的特徴から、その時点である程度、選択肢から外せるものは外したほうが効率的です。

 そして、保護者自身が何を重視するのかをご夫婦で本音の意見を固めておかなければなりません。進学実績を重視するのか、現時点の偏差値を重視するのか。特に今、大学の進学状況はかなり二極化しています。

 1つは、学校推薦型選抜・総合型選抜で一般入試をほとんど受けないような学校、もう1つはほぼ全員が共通テストを受けて一般入試で受験する学校です。現実問題として、学校の偏差値と共通テストの受験率には見事なまでの比例関係があって、偏差値が高い学校であればあるほど共通テストを受けて一般受験をする。 

 指定校推薦や総合型選抜での進学者が多い学校では年明けになって勉強をしている子はあまりいません。ただし大学の附属校は大学入学後に向けての準備をさせることが多いです。現実を見ながら、今、親としてどういう選択をするのが我が子の未来のためになるのかという視点で考えることが必要なのです。

――とは言え、難しいです。親としては先ほど広野先生がおっしゃったように、勉強してもらい一般入試で難関大学に入ったほうが、この先が混沌(こんとん)とした未来であっても何か良いことが待っているのではないかという欲が出るんですが、実際に高3になった際に、こんなことなら附属校にしておけばよかったと泣く母をたくさん見てきました……。

 進学校は進学校で大変ですが、大学附属校も絶対安泰ではありません。今、早慶以外のほとんどの大学附属校が併設大学に全入ではないからです。成績上位者で他大学に進学する子もいるし、逆に下の生徒は大学への推薦基準を満たせない子もいます。