共に経済の専門家であり、投資家としても豊富な経験を持つ山崎元氏と小幡績氏。株式市場に大きな影響を与えている「異次元の金融緩和」に対し、相反する意見を持つ論者でもある。乱高下相場の行方と投資家が取るべき行動を聞く(対談は6月12日開催)。
──最近の株式市場の状況をどうみていますか。
小幡 明らかにバブルです。だから理由なく上がるし、理由なく下がる。投資家は、相場が短期間に勢いで上がるという前提で買って、勢いに乗ってどこかで売りたい、と考えている。それがまさにバブルなんです。皆それに乗ってもうけたいという欲望で動いているから、バブルが崩れそうになれば、焦るしパニックにもなる。乱高下が続きやすい状況です。
山崎 バブルを普通に定義すれば「長期的には継続し難いような、資産価格の大規模な高騰現象」ということです。ファンダメンタルズ(国全体の経済や、個別企業の状況を示す基礎的な指標)の裏づけを欠いた資産価格の高さなのですが、そういう意味では、現在の株価はまだバブルではない。
では5月23日からの株価下落はなんだったのかというと、ひとえに利食いの集中ということでしょう。あまりにも一本調子で上がってきた影響が大きかった。
小幡 バブルについては、山崎さんの定義が一般的です。しかし僕が定義するバブルは、ファンダメンタルズとの比較ではなく、投資家が上昇の期待に基づいて買っている、つまり皆が買うから買うということです。
──今後についてはどうみますか。
山崎 金融緩和を背景にした大規模な株価上昇では、こういう調整を経ながら上がるものです。今回は大幅で急激ではあったけれども、株価も為替レートも、普通の調整だと理解しています。