日本の順位はやや低下傾向だが、参加する国・地域が増えているから影響が出るのは致し方ない。むしろ、ライバルが増えたにもかかわらずベスト5はキープできているわけだから、日本の小学生の算数の学力は、世界的に見てもなかなかレベルが高いと言えるのではないだろうか。
テストの点数は高いのに
算数を得意と思えない子どもたち
一方、TIMSSの「質問調査」では気になる結果が出ている。質問調査とは、要するにアンケートのことだが、ここでは、
(1)算数の勉強は楽しい
(2)算数は得意だ
これらに関する設問に日本の小4の子たちがどのように答えたか、結果を引用する。
下の2つのグラフを見ればわかるとおり、(1)(2)どちらにおいても国際平均を下回っている。しかも(1)では、2019年から2023年の間に値がだいぶ低下してしまった。
同書より転載 拡大画像表示
算数を「楽しい」と答えた子が77%→70%になってしまったのだ。
(2)に至っては、ここ10年で最低の数値を記録した。算数を「得意」だと思っている子は全体の56%にとどまっている(ちなみに日本の男子と女子の間で成績を比べると、女子のほうが成績が低く、かつ算数が得意と答えた割合も目立って低いという)。
ここから見えてくるのは、次のような小学4年生の姿だ。
算数はよくできる。それなのに子どもは、あまり楽しい・得意とは感じていない。
テストで点をとれる科目があれば、子どもはそれを得意と言い、ハッキリ楽しいと言いそうなものだ。ところがこの調査では、算数についてはレベルのわりに楽しいとも、得意とも感じていないらしいのである。







