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期末テストや受験突破を目標にしていては、子どもの勉強は続かない。大事なのは、適度に達成感を与える仕組みだ。算数オリンピック金メダリストを9年連続で輩出した「りんご塾」の生徒は、中学受験が終わった直後に高校受験の勉強を始めたという。いま注目の教育者が、子どもを勉強好きに変える仕掛けを語る。※本稿は、りんご塾代表の田邉 亨『本物の算数力の育て方 子どもが熱中する「りんご塾」の教育法』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
ピタゴラスはやり手な
塾経営者だった!?
ピタゴラスといえば「三平方の定理」にその名が残る数学者(正確には宗教家)だが、その彼についてこんな逸話が残っている。
異国で学問を修めたピタゴラスは、帰郷して数学を教える学校を開設した。ところが生徒が集まらない。そこで彼は人の集まる市場へ出かけて行き、利発そうだがいかにも貧しい感じの青年を見つけて声をかけた[以下は片野善一郎『素顔の数学者たち』4頁より引用]。
「君は暇なようだが、私の学校へ来て数学を勉強してみないか。君が数学の定理を1つ理解するごとに3オボロスのお金をあげるがどうかね」
青年は数学がどんなものか全く知りませんが、お金をもらえると聞いて、喜んで承知しました。翌日から青年はピタゴラスから数学を教わりますが、定理を1つ教わって理解するごとに約束どおりお金をもらえたので、青年は毎日学校へ通って一所懸命数学を学びました。
何カ月かたって、青年の学力はかなりついてきました。ピタゴラスはこの青年は自分が教えなくても1人で数学の勉強を続けるにちがいないと思い、青年にいいました。







