算数への苦手意識は
推論問題のつまずきが原因?
なぜこんなことが起こるのか。おそらくその原因はTIMSSの問題構成にある。
一般にTIMSSの問題は、大きく次の3種類にわけられる。
知識……算数の知識や概念を理解しているか
応用……算数の知識や概念を問題場面に応用できるか
推論……論理的・系統的な思考によって複雑な問題の解決策を生み出せるか
「知識」は、おもに計算やそれに関係する力だと考えていい。与えられた「式」が「引き算」であることを理解し、所定の解法で解いて答えを解答欄に記入する。算数では最も基礎的な活動で、決められた手順さえ知っていれば誰でもできる。
「応用」は、「知識」より少しだけ難しい。まずは問題文を読む。次に引き算で解けばいいことを正しく判断し、立式して得た答えを解答欄に書く。これが恙なくできると親も教師も一安心、というレベルの問題である。
この「知識」「応用」はどちらも、必要な解法、公式などを覚えて、その使い方をくり返し練習すれば誰でもできる問題だが、「推論」ではそれが通用しなくなる。ここで出題されるのは、もっと複雑な文章題だ。
小4の子どもたちはまず問題文を読み、そこに書かれているいろいろな条件を理解する。次にそれらの条件を満たす式をどのように立てればいいかを考える。
たとえば四則演算のどれを使うか、分数や小数は必要か、それらをどんな順番で・どう配置すると最適な式になるのか、図にするとわかりやすいのではないか、などといったことを考えて立式し、あるいは問いを図式化する。うまくいかなかったときは最初に戻ってまた考え直す。うまくいったと確信が持てたら、その式なり図なりを解いて答えを出す。
こんなふうに、ああでもない・こうでもないと論理的に、粘り強く試行錯誤して答えに近づいていく問題が「推論」だ。「知識」や「応用」はクリアできる子でも、「推論」では往々にしてつまずく。だから小4の子たちは算数を、「楽しくないし得意でもない」と感じているのではないか。







