勉強中に居眠りをする男の子写真はイメージです Photo:PIXTA

日本の小学生は世界的にも算数の成績が高い。にもかかわらず、多くの子どもが算数を「楽しい」「得意」と思っていない。子どもに算数を好きになってもらうには、どうしたらいいのか?算数オリンピック金メダリストを9年連続で輩出した「りんご塾」代表が語る、算数でつまずく最大の原因とは?※本稿は、りんご塾代表の田邉 亨『本物の算数力の育て方 子どもが熱中する「りんご塾」の教育法』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

国際的に見ると日本の
算数レベルはむしろ高い

 日本の小学生の、算数の学力はどのくらいのレベルなのか。また、子どもたちは算数の勉強をどう思っているのか。それを知るのにうってつけの資料がある。

 IEA国際数学・理科教育動向調査(Trends in International Mathematics and Science Study:TIMSS ティムズ)という調査だ。その概略は下にまとめておいた。

 これは算数・数学と理科を対象に、4年ごとに実施される国際的な学力調査だ。2023年には日本から小学4年生3875人が参加した。算数の成績を比較すると、各国の順位は次のようになった[以下、TIMSSに関する記述は文部科学省・国立教育政策研究所「TIMSS2023の結果(概要)」より]。

第1位 シンガポール
第2位 台湾
第3位 韓国
第4位 香港
第5位 日本

 第3~5位は「日本の平均得点と有意差がない国・地域」だそうだから、4年ごとの開催にちなんでオリンピックにたとえると、日本は銅メダルくらいの実力だと考えても差し支えなさそうだ。

 さらに総合順位をさかのぼって見てみると、下の表のようになった。2023年の結果がたまたま良かったわけではないことがわかる。

図表:TIMSS算数(小学4年生)の順位同書より転載 拡大画像表示