高市政権の総合経済対策は「高市トレード」から「トリプル安」への転機!?Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

総合経済対策の規模は過大
市場は期待より警戒感を強める

 高市早苗政権は11月21日の閣議で、物価高対応や危機管理投資、防衛力強化を柱にした総合経済対策を決めた。

 対策の財源の裏付けとなる2025年度補正予算案の一般会計歳出は17.7兆円で、石破茂前政権が策定した経済対策の規模(13.9兆円)を上回った。減税の効果も含めると、21.3兆円と、予想されていたより大幅に大規模であり、コロナ禍後で最大規模の補正予算だ。歳出も国債発行額も大幅に増額された。

 高市首相は財源について、「税収の上振れ分などを活用しても足りない部分は国債発行で賄うものの、当初予算と補正予算を合わせた国債発行額は昨年度の42.1兆円を下回る見込みだ。財政の持続可能性にも十分配慮した姿となっている」と強調した。

 しかし、当初予算は前内閣が編成したものだから、「それと合計した国債発行額の比較」という説明は説得力に欠ける。

 高市政権の総合経済対策が規模を優先したものであり、首相が言う「責任ある積極財政」政策ととても言えるものではない。

 そのことへの不信や疑問を如実に示すのが、金融市場での「トリプル安」加速だ。金融市場では株式、国債、円がそろって売られている。

 市場は、株式市場の「高市トレード」に象徴される期待感から、高市経済政策への警戒感を強める方向に変わったといえる。