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21兆円大規模財政出動は不要
アベノミクスとは真逆の経済環境
政府は11月21日、物価高対応や危機管理投資・成長投資、外交、防衛力強化の3本柱による総合経済対策を閣議決定した。
所得税の「年収の壁」の引き上げやガソリン税の暫定税率の廃止による大型減税も含めて、国の支出は一般会計では17.7兆円、特別会計を入れると21.3兆円となっている。さらに地方の歳出や民間支出を加えた総額の事業規模は42.8兆円と非常に大規模となる。
与党内の声を受けて巨額の経済対策となったが、市場からは財政悪化への疑問の声も見られる。円安が続いているほか、長期金利も一時1.8%を超えた。株価はいったん盛り返しているが、これは米国の半導体メーカーの決算が好感されたものであり、高市早苗首相が強調する「責任ある積極財政」が評価されたわけではない。
実際、足元では再び下落傾向にある。
対策の中身を見ると、危機管理投資などでは、中期的に成長力引き上げにつながると期待されるものもあるが、11.7兆円と最も歳出規模が大きい物価高対応の政策は、ばらまき色が強く、一時的な効果しか期待できないものだ。
総合経済対策全体としても、規模が重視された結果、需給ギャップが解消した日本経済には過大だ。高市経済政策がモデルとするアベノミクスとは真逆の経済環境の下ではインフレが加速する懸念がある。
日本銀行は、国債や株式市場の動きを注視しながら、追加利上げを進めていく必要がある。







