「チームのために頑張れ」と言ってくるリーダーにモヤモヤする……
そんなあなたにお薦めしたいのが、400以上のチームを見た専門家が「仲間と協力して大きな成果を出せる人の特徴」をまとめた『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)という本だ。「他人と仕事をするうえで忘れてはいけない大事なことを教えてくれる」と話題の一冊から、その考え方について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
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「チームのため」では人は動かない
職場には、「チームのために頑張れ」「みんなのためだろう」と、使命感だけでメンバーを動かそうとするリーダーがいます。もちろん、組織に貢献したいという気持ちを持ってもらうことは大事です。しかし、多くの人が抱いている本音はこうです。
「その経験は、自分のキャリアにどうつながるのか?」
『チームプレーの天才』でも、このように指摘されています。
――『チームプレーの天才』(304ページ)より
会社に言われたことをこなすだけで未来が保証される時代は終わりました。その仕事が、自分の“将来”にとってどうプラスになるのか――ここを理解・納得できなければ、どれだけ「チームのため」と言われても人は動きません。
つまり、人は“自分の未来に意味があると感じたとき”に、主体的に動き出すのです。逆に、「このプロジェクトでは何も身につかない」と感じた瞬間、モチベーションは一気に落ち込みます。これは怠けではありません。キャリアを気にすることが当たり前になった時代では自然な反応です。
「キャリアにおける意味」を示せる人が、チームを動かす
では、そんなメンバーと、どうコミュニケーションすればいいのか。『チームプレーの天才』はこう提示しています。
――『チームプレーの天才』(305ページ)より
必要なのは、「この仕事が、あなたのキャリアの何につながるのか」を、一緒に描くことです。
・このプロジェクトでどんな経験が積めるのか
・どんな力が磨かれるのか
・将来どんな場面で役に立つのか
これがイメージできた瞬間、人は自分の意志で動き始めます。この“キャリアとの接続”をデザインできる人が、チームの士気を劇的に高められるのです。
チームが伸びるのは、「キャリアを尊重するリーダー」の下
「チームのために頑張れ」は、一見正しいようで、ときにメンバーの視野を狭めます。反対に、メンバーのキャリアを尊重するリーダーは、個人の強みを引き出し、チーム全体を前進させます。
「この仕事は、あなたのキャリアにどう役に立つか?」
もしあなたがチームを率いる立場にいるなら、今日からぜひ、この言葉を大事にしてください。そのひと言が、メンバーの意欲を呼び起こし、チームを支えるエネルギーになります。チームのために頑張れる人をつくるのは、「チームのため」という言葉ではなく、“自分の未来につながる実感”なのです。
(本稿は、『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』の発売を記念したオリジナル記事です)





