他部署と連携したり、他社と協力したりと、仕事において「チームで仕事をする」ことは多いもの。一方で、価値観や背景の違う相手とのすれ違いや衝突にモヤモヤすることも……。そんなあなたにおすすめなのが、400以上の組織やチームを見てきた組織開発の専門家が「誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること」をまとめた書籍『チームプレーの天才』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社)です。この記事では同書から内容の一部を抜粋し、これまで言語化されてこなかった「他者と協力して結果を出すコツ」を紹介します。

「チームの立て直し」がうまいリーダーが必ずやっていること・ベスト3Photo: Adobe Stock

挫折するチームに「足りない」もの

 ビジョンを掲げ、チームのメンバーも関係者も皆共感している。
 やりたいこと、やるべきことも明確になった。

 だがしかし、いざ走ろうとしても走り出せない、あるいは挫折してしまう。
 タスクは明確だが難しすぎて、または量が多すぎてこなせない。
 気合と根性で乗り切ろうにも、心と身体が持たない。
 やがて1人、また1人と離脱し、関係者からも期待されなくなり忘れ去られてしまう……。

 こんな悲しい結末を迎える活動やプロジェクトは少なくありません。

 それもそのはず。
 そのビジョンを実現するための能力がチームに備わっていないから。

 様々な人たちと共創でものごとを進めていくためには、それ相応の能力が求められます。
 マラソンと駅伝で求められる走り方も能力も異なるように、チームや組織単独で仕事を進めるのと共創で進めるのとでは、求められる能力は異なるのです。

チームに足りない「能力」を補う3つの方法

 ここでは、その共創に必要となる能力を3つの要素に分解して考えてみます。

①体験
 ゴールや目的を達成するために必要な体験をすること。組織やマネージャーにおいては、チームのメンバーに必要な体験を獲得してもらう(または尊重する)こと。

②体制
 ゴールや目的を達成するには、どのような役割の人が、どのような体験・スキル・意欲を持った人がチームに必要か認識できること。そして、アサインすること。

③スキル
 そのミッションを遂行するために、および他者と共創関係を構築するために必要な技術や知識、マインドセットのこと。

「①体験」の能力を高める方法については第4章でお伝えしました。
 残りは「②体制」「③スキル」の能力を高める方法。
 これをざっくりまとめると、次の2つの方法です。

・能力を持つ人を探して、チームに加わってもらう
・メンバー個々人の能力を高める

 この2つが、チームに能力が足りていない場合、取りうる手段です。

(本稿は、書籍『チームプレーの天才』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では、他者とうまく仕事を進めるための具体的な93の技術を紹介しています)