米投資家の動揺招いた「日本の利上げ観測」Photo:Bloomberg/gettyimages

 米国市場は太平洋の向こう側からの脅威に直面している。

 日本銀行の植田和男総裁が今月中に利上げを行う可能性を示唆したことを受け、1日は世界各国で国債利回りが上昇した。投資家の間では、高市早苗首相からの圧力で利上げを見送るかもしれないと考えられていたため、驚きが広がった。

 植田総裁の発言を受け、日本の10年債利回りは1.879%に上昇した(価格は下落)。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、終値としては2008年6月以来の高水準となった。米10年債利回りも上昇し、先週半ばの4%弱から4.095%で取引を終えた。

 ウォール街の一部では、日本の国債利回り上昇が米国投資から資金を引き離し、消費者や企業の借り入れコストを決定する上で重要な役割を果たす米国債利回りの上昇を招くのではないかと懸念する声が出ている。

 米財務省のデータによると、世界第3位の経済大国である日本は米政府にとって最大の外国債権者であり、9月時点で約1兆2000億ドル(約186兆5400億円)相当の米国債を保有していた。日本の民間投資家はここ数年、国内で得られるより高いリターンを求め、米国債やその他の外国債券に数千億ドルを投じてきた。

 今年の大半において、そうした動きは見られていない。日本の投資家が金利上昇に備える中で同国の国債利回りは上昇している。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が逆の方向に動く中で米国債利回りは低下している。それでもアナリストらは、こうした乖離には限界がある可能性があると警鐘を鳴らしている。