「寒さがいやなら、我が家に暖炉を作ればいいだけのこと」

 オジョウサマことリヨ(北香那)がヘブン宅にやって来た。だがヘブンは散歩に出ていた。これはトキがリヨとヘブンを会わせないためのうそなのか、本当に散歩なのか不明。リヨは正月早々すれ違いでがっかりしながら、江藤家での快気祝いの招待状をトキに託す。そこにはかわいいウグイス(メジロ?)のつがいの絵が描いてある。

 そんなリヨにトキは「実はヘブン先生が来年の正月はもう松江にいないと」言っていると報告する。

「この寒さに耐えられんそうで」と言うと、リヨは「そもそも松江中学の先生として1年の契約なんですよ」と冷静だった。といって、みすみす1年でお別れさせるつもりもない。

「見てなさい。私がつなぎ止めてみせます」「寒さがいやなら、我が家に暖炉を作ればいいだけのこと。それだけの話です」と自信満々だった。パンがなければお菓子を食べればいいというマリー・アントワネットのようだ(史実? ではこんなことを言ってないらしい)。

「そして我が家で暮らしてずっと暖炉に当たっていれば、ね?」

 頑張る、お嬢様。さすがである。

 ではここで、高飛車だけど憎めない聡明(そうめい)なリヨを演じている北香那さんのコメントを紹介しよう。

――『ばけばけ』へのご出演が決まったときの感想を教えてください。 

 朝ドラにはいつか出演してみたいという憧れを、ずっと持っていました。そんな中で『ばけばけ』出演のお話をいただいた時は、一つの目標に手が届いたようなうれしさがありました。

 あと、脚本のふじきみつ彦さんとは、以前『バイプレイヤーズ』という作品でご一緒させてもらっているので、ふじきさんが書く脚本の朝ドラに出演させていただけることにすごくご縁のようなものを感じてうれしかったですね。

――演じられる江藤リヨは、どんな役ですか?

 知事の娘として良い家で育ち、基本は自分を疑わずに進んできたはつらつとしたキャラクターだけど、そこに嫌味がない。どこまでパワフルなお芝居で振り切っていいのかなと、撮影前から演じるのをすごく楽しみにしていたんです。その時に起こることを受け入れてストレートに進んでいくイメージで、人間関係においても単独行動的というか、自己中心的な部分もあるのですが、私はそこがちょっと愛せるというか、演じていて気持ちの良いキャラクターだと感じています。

 多分、本来の私とは真逆な人間性を持っていて、リヨの感情は理解できても突発的に行動する部分はほとんど理解できず、そこが逆にうらやましいと思いました。あと、リヨは、着ている衣装もすごくかわいいです。当時には珍しく、時代を先取りしているようなおしゃれな衣装なので、ぜひそこにも注目してほしいですね。