『ばけばけ』第52回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」連載です。本日は、第52回(2025年12月9日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
ヘブンが松江を去ったら困ること
通りすがりに過ぎないと、ヘブン(トミー・バストウ)が松江をいつか去る。
そもそも、教師の契約は1年だった。
ヘブンが松江にずっといるわけではない。そう考えていることに、トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)が心を揺らしている理由ははっきりしない。
だが松野家の気持ちははっきりしている。彼がいなくなったら月20円が入ってこなくなり、借金返済が再び滞ってしまう。
最近の松野家は食事も以前より貧しくなくなって見えるが、それもトキの月収20円のおかげであろう。
借金取りの銭太郎(前原瑞樹)は鷹揚(おうよう)だ(?)。
「またちびちびしか返せんやになったらツラやらケツやら叩いて、いびっちゃあけん心配すーな」
言葉は悪いが、これって返済が減ってもいつまでも待ってあげるという優しさだろうか。
善人な借金取りから借金ができて松野家はついているのだろうけれど、ひとつまずいことがあった。
そうなると、タエ(北川景子)に月々10円を渡せなくなってしまうのだ。
いまや、タエは松野家よりもよさげな家に住んでいる。おかげで大寒波でも野垂れ死なずに済んだのだ。
悩みが尽きないトキと松野家。
「心配すーな。またちびちびしか返せん……」と銭太郎が口をはさもうとすると「うるさい」「黙っちょれ」と司之介(岡部たかし)と勘右衛門(小日向文世)がたしなめる。
「貧乏人が」
「貧乏人いうやつが貧乏人じゃ」
子どもの口げんかである。
わいわいやっていると20円を死守する名案が――。







