さすがお嬢様、ストーブを自宅に設置

「ここまで声を出して笑いながら読める台本にはなかなか出会えないと思うほど、ふじきみつ彦さんの本が最高に面白いです。演出にもこだわりがあって、例えば照明が本当に暗かったり、松野家が本当に狭かったりするんです(笑)! メイク直しのために全員家から出なくてはいけないくらい狭いし、ほこりもすごいし、服にも汚しをほどこしてリアルに作っているのでそのあたりにもご注目ください。

 良い作品になっていると実感しながら撮影できていること、そして皆さんに見てほしいと自信を持って言えることがすごくうれしいです。トキは上までは向かないかもしれないけれど、下を向かず、前を向いて生きていきます。その姿を見て、毎朝クスッと笑ってもらえたらうれしいなと思います」

 松野家の喧騒を離れ、トキはヘブン宅へ。「先生が松江を離れたら、チェアはどこへ行くんですかね?」とウグイス(メジロ)に語りかけていると、ヘブンがリヨと連れ立って帰って来た。錦織(吉沢亮)もいる。

 リヨは偶然を装って、ヘブンの好みの場所・城山稲荷神社で待ち伏せしたりしているのだ。着々とヘブンを攻略している。「へぶん」と「りよ」のおそろいの印鑑を作ってご満悦。

「必ず素晴らしいパートナーになれる気がする」と快気祝いのパーティを催し、それに合わせて家にストーブを設置した。寒がりなヘブンは料理よりストーブに引きつけられる。

 その頃、花田旅館では、トキが梶谷(岩崎う大)から、リヨが快気祝いの席でヘブンにプロポーズする気だと聞かされていた。リヨはヘブンと結ばれるためにお百度参りまでしているのを見てそう感じたと力説する。推測のみならず新聞記者としてちゃんと裏取りもしていた。松浦(瀧沢修)というお付きの者から情報を得ていたのだ。

 快気祝いのシーンで松浦の妙に印象的なアップがあったのはそのせいだろう。

 松浦を演じているのは、関西の事務所に所属する瀧沢修さん。昭和の新劇を代表する演劇人・滝沢修さんとタキの字違いでさぞプレッシャーではないかと余計なお世話だが筆者は思う。朝ドラには。「カムカムエヴリバディ」「おちょやん」(ご近所さんレギュラー)「スカーレット」(ジョージフジカワ付き人)「まんぷく」などに出演している。静かに粛々と忠実な従者を演じている(今回口が軽かったのは御愛嬌。きっと梶谷から賄賂をもらっているだろう)。

主題歌まで5分!それでもオープニングの長さを感じさせない俳優たちの熱演がお見事すぎる〈ばけばけ第52回〉
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