ケース3 「なんか違うんだよなぁ」
という表情をしている場合

 最後のパターンは、「商品そのものはいいと思っているが、その人のこだわりとあなたの提案内容にズレがある」という場合。経験が浅い営業パーソンが陥りがちな状況です。

 1つの商品には、様々な側面があります。もちろん、売り手側が「ここが推し」と考えているポイントはあり、営業はその部分をPRしようとするのですが、お客様が必ずしもそのポイントに魅力を感じているとは限りません。お客様が感じる商品の魅力と、あなたがアピールしている魅力が一致しているとは限らないのです。

 大切なのは、一方通行ではなく、お客様一人一人に合わせた営業ができているかどうか。

 あなたの説明を聞いている相手が違和感を抱いていないかどうか、観察し、読み取る力を強化していくしかありません。

 家族や友人との関係でも全く同じです。あなたがよかれと思ってやっている言動が、実は独りよがりになっていないか。相手の反応を常に確かめることで、あなたはもっと信頼され、もっと愛されるようになります。

多様な会社と取引することが
自分の成長につながる

 最後に、クイズです。

 あなたには見えていないけど、あなたにとって一番大切なお客様って、だーれだ?

 なぞなぞ風ですが、答えはシンプル。「あなたの会社と取引がないお客様」です。

 あなたの競合他社ががっちりと囲い込んでいるお客様は、あなたにとってほとんど目に見えない存在。そんな競合他社の上得意先こそ、あなたが真剣に攻略するべき相手です。

 キーエンスは1974年設立と後発ながら、競合他社からどんどんシェアを奪って業界トップに急成長しました。

 その原動力の1つが、競合他社の製品ばかりを使っている顧客に積極的な営業を仕掛け、ごっそりと自社製品に入れ替えてもらうというやり方です。

 これまで真っ黒だった盤面を、真っ白に塗り替える。オセロゲームのような展開こそ、営業の醍醐味とも言えます。