たとえば、リュウジさんの「虚無ご飯」レシピには、ご飯に味の素少々を振りかけてバターを落とし、醤油と鰹節をかけて食べる、というものがある。これは単なる白ごはんが〈うま味倍増飯〉になる、理にかなった組み合わせだ。
青菜メインの野菜炒めなんかでも、単なる塩コショウだけでは物足りないのは当たり前。肉をちょっとプラスするとか、野菜だけならグルタミン酸系の玉ねぎやトマトをプラスしてうま味を足す必要がある。
僕が「アジシオ」を推すのも、そこに理由がある。アジシオって、塩とグルタミン酸の配合が絶妙で、誰が使ってもちょっとうまくなるように設計されてる。野菜炒めとか、スープとか、炒り卵とか――味の骨格がまだ弱いときに、ほんの少しアジシオを加えるだけで、「あれ、なんかうまいな」ってなる。
『僕が料理をする理由 ~AI時代を自由に生きる40の視点~』(堀江貴文、オレンジページ)
そもそも料理は化学。うま味の要素を理解して、どんな素材を組み合わせていくかが出来栄えを大きく左右する。それを知らないで「なんとなく体に悪そう」とこれらの調味料を否定したり、肉を食べないベジタリアンメニューに走る人はまずい料理を作りがちだ。
人間は身体が欲するものを美味しいと感じるようにできている。穀類を口に入れると消化酵素のアミラーゼがでんぷんを分解して麦芽糖に変えてくれる。これが甘味の源泉だし、美味しい脂肪を蓄えた肉やバターなどは、どんな料理にしても美味しく感じる。
うま味に親しんだ日本人が発見したグルタミン酸をはじめとするアミノ酸類は、もともと身体を作るタンパク質の原料である。基本さえ押さえておけば美味しい料理をいくらでも作ることができる。







