「肉の柔らかさ、うまみに度肝を抜かれた…」学生時代のホリエモンが感動したチェーン店の実名堀江貴文

ホリエモンこと堀江貴文さんが自身初となる料理エッセイ本で「幼い日の食卓」を明かした。「食の衝撃は、ありふれた人生を一気に鮮やかにする」と語る真意とは?※本稿は、堀江貴文『僕が料理をする理由 ~AI時代を自由に生きる40の視点~』(オレンジページ)の一部を抜粋・編集したものです。

スパゲティの衝撃

 あまり知られていないかもしれないが、僕はけっこう料理をする。昔から美味しいものを食べるだけじゃなく、自分で作ることにも、昔から興味があった。

 母は共働きで忙しく、料理に特別なこだわりを持つタイプではなかったけれど、その分、僕は早くから「自分で作る」ことを自然にできるようになった。最初の原体験は、幼稚園の頃に作ったインスタント焼きそばだ。

 あのソース味が好きで、今でも数カ月に一度、無性に食べたくなるときがある。小学生になると土曜の昼などにそうめんを茹でたりするようになった。

 自分のために、自分で作る。それが当たり前になっていった。そんなある日、友達の家で食べた昼ごはんが、僕の中の何かを変えた。

 友達が作ってくれたのは、茹でた市販のパスタにバターを絡めて、レトルトのミートソースをかけただけの、シンプルなスパゲティ。でもひと口食べた瞬間、衝撃を受けた。「何が違うんだ?」と考えながら食べて、すぐに気づいた。

 茹で加減――アルデンテ。あの絶妙な歯ごたえ。これがすべてだった。

「うまいものって、作り方ひとつでまったく変わる」

 その感覚が、僕の中に深くインストールされた瞬間だった。それからというもの、自分なりの〈ひと工夫〉を加えるようになった。

 そうめんを食べるときには、庭で大葉や茗荷を摘んで薬味にしたり、やがて調理道具にも興味を持ち、テフロン加工のフライパンを買ってもらったり。母は使いたがらなかったけれど、炒め物は格段にうまくできるようになった。

 料理を通して、「自分で工夫することの楽しさ」に目覚めていったのだ。そして東京に出てからは、さらに次の「衝撃」が訪れた。