「『なぜ、そう思うの?』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ?」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ?」「どうして?」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話=「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」=事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問」について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

「テスト、どうだった?」と子どもに聞くと実は逆効果。では、どう聞くのが正解?Photo: Adobe Stock

「なぜ?」は最悪の質問

 質問には、よい質問とよくない質問があります。

 よくない質問の代表が「なぜ?」「どうして?」と聞く質問です。

 では、それがよくないのはどうしてでしょうか。
 まず第一に、相手の「思い込み」を引き出してしまい、それがコミュニケーションのねじれにつながるからです。しかしもう1つ、致命的な欠点があります。具体的な例を見ながら考えてみましょう。

「どうでしたか?」ではどうにもならない

 みなさんは、子どもがテストを終えて帰ってきた時、どのように聞いていますか?

 そもそもこれは、非常に微妙なシチュエーションですよね。特に、入試を控えた思春期のお子さんに対して「テスト、どうだった?」と父親が直截に聞くのは、憚られます。だからと言って何も聞かないのも不自然です。一般的には、次のように聞いてしまっているのではないかと思います。

「テスト、どうだった?」

 しかし、これは実は決して良い質問とは言えません。

 その理由がみなさんにはおわかりでしょうか。実は、この聞き方は、「あるリスク」をはらんでいるのです。

「答えたくない質問」への回答を強制する

 そのリスクとは、「質問に答えたくない」と思っている可能性がある点です。子どもとしては、「正直、出来がよくなかった」と感じていて、あまり話したくない心情かもしれませんよね。出来がよければ、自ら話し出す子も多いでしょうから。

 しかし逆に親の立場からすると、テスト結果について「どう?」と聞くこと自体には、何の心理的抵抗もありませんね。

「どう質問」は、聞く方はラクに聞けるのに、相手に負担を与える、怠惰な質問です。「なぜ?」はしてはいけない質問ですが、「どう?」も同じように、控えるべき質問なのです。

 次のページで、その解決策を見ていきましょう。