「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として編集・書き下ろしし、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

学校では教えてくれない! 子どもの語彙力を爆伸びさせる“たった一つの習慣”Photo: Adobe Stock

学校は「インプット」中心、家庭を「アウトプット」の場に

 学校の授業は、基本的に「インプット型」です。
 教科書を読み、漢字を覚え、先生の話を聞く。これは知識を詰め込み、記憶力を高めるための学習です。

 一方で、真の言語化力とは「アウトプット」によって磨かれます
 自分の意見を言い、考えを伝え、感情を表現する。欧米の授業ではディスカッションが当たり前ですが、日本の学校現場では、まだこうした双方向のやり取りは十分には実装されていません。

 この「インプット偏重」の学校教育に対する、カウンター(補完)として、家庭でのアウトプットが必要不可欠なのです。

「知っている言葉」と「使える言葉」は違う

 ここで重要なのが、「理解語彙」と「使用語彙」の違いです。

理解語彙:読んだり聞いたりして意味がわかる言葉(インプットで増える)
使用語彙:自分で話したり書いたりして使いこなせる言葉(アウトプットで増える)

 多くの子どもは、学校の授業によって「理解語彙」はそれなりに持っています。しかし、それを日常で使いこなす「使用語彙」が極端に少ない状態にあります。

「勉強」ではなく「遊び」に

 では、どうすれば使用語彙を増やせるのか。答えは「話す・書く」というアウトプットを繰り返すことしかありません。

 しかし、家で親が「もっと話しなさい」「感想を書きなさい」と強要しても、子どもは絶対にやりません。

 YouTubeやゲームのほうが圧倒的に楽しいからです。
 だからこそ、言語化のトレーニング自体を「ゲーム(遊び)」にする必要があります

 友達同士や親子で遊びながら言葉を引き出し合う。
 
点数は競うけれど、それはテストの評価とは違う「楽しさ」のための点数です。

「勉強させられている」と気づかれないように、遊びやゲームの中で、自然とアウトプットを引き出す。これが、学校教育の穴を埋める唯一にして最強の家庭学習法なのです。

*本記事は、山口拓朗著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の「保護者向け はじめに」に大幅に加筆し、編集したものです。