「買う側」も処罰される?高市内閣「売春規制」を待ち受けるいばらの道写真はイメージです Photo:PIXTA

高市内閣が「買春規制」に乗り出したことが一部で話題を呼んでいる。タイ国籍の少女が日本で人身取引被害に遭った事件の影響もあり、世論も「買う側」の規制を求める声が多いように見える。高い支持率に後押しされ、この方針も一足飛びに法制化が進むのか。議論を整理する。(フリーライター 鎌田和歌)

タイ国籍の12歳少女が被害
高市首相は売春行為の法規制検討

 東京・湯島でタイ国籍の12歳の少女が人身取引被害に遭い、「タイマッサージ店」で働かされていたというニュースは衝撃的だった。

 母親に置いて行かれた少女は周囲の外国籍の人から入管の存在を知らされ、行ったら捕まると忠告されながらも向かったというのだからいたたまれない。その入管で保護され、事件が発覚した。

 経営者の男は労働基準法(最低年齢)違反や風営法違反(禁止区域営業)で逮捕された。

「まさか現代の日本でそんなことが」と驚く反応が多い。わかっているだけで60人の客が少女を買っていたのだ。少女が未成年であることに客の誰もが気づかなかったとは考えづらい。

 この報道から5日後の11月11日、衆議院予算委員会で緒方林太郎議員が買う側に規制がない現状について訴えた。「売春の相手方を罰する可能性」について質問を受けた高市早苗首相は、買春行為について法規制の検討を指示。ついに日本も買春規制に向かうのだろうか。

 売買春に関する日本の法整備はパッチワークさながらになっており、抜け穴が大きすぎることや、処罰の甘さも指摘されている。買春規制の法制化が取沙汰された今、改めて議論を整理してみたい。