児童売春の立件が難しいのはなぜ?
海外から「罰則が軽い」との声も

 まず、1957年に施行された売春防止法は、「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない」と定めるが、罰則規定があるのは売春を勧誘したり斡旋したりする行為であり、買う側には処罰規定がない。

 また、売春について「社会の善良の風俗をみだす」とあり、「売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずる」と定められているものの、買う側への言及がない点についての批判がかねてからあった。

 未成年に対する買春に対しては「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」で処罰できる。しかし、海外からは罰則の軽さが指摘されている。罰則が行為の重さと見合っておらず、犯罪の抑止につながらない。

 そして実際に児童買春罪を適用できる場合ばかりではない。

 このたび報道された、タイ国籍の少女が被害に遭ったケースは、買った側が児童買春や、不同意わいせつ罪(性的同意年齢である16歳未満への性的行為)で処罰されなければいけない事件であるが、立件するためには、客が少女をその場で「未成年の児童」あるいは「16歳未満」と認識していたと立証する必要があるなど、ハードルが高い。

 実際に、この件でまだ客が捕まったという報道はない。

 12月8日になって、少女を働かせていたマッサージ店の店主が客だけでなく自身にもわいせつ行為をさせた罪で追送検されたが、報道されている罪状は不同意わいせつ罪ではなく児童福祉法違反である。

 相手が児童であっても「成人していると思っていた」と言い逃れできるのは、成人を買った場合に罰則がないから、とも言える。

 相手が児童であっても「売る側が悪い」「売ってないものは買えない」といった意識が、罰則の甘さを招いているようにも感じる。年少者を保護する意識が希薄である。

 ただ、買春する側への法規制については、複数の点から懸念があるのが現実だ。