遅く生まれると損をする運命?
1万時間の練習を重ねられない
しかし、エリクソンをはじめ、才能第一主義に異を唱える人たちによると、この現象は驚きでも何でもない。遅く生まれた神童は、8歳の時点でオールスターチームのメンバーに選ばれない。なぜなら、体格が小さすぎるからだ。
その結果、彼らは選ばれた子たちよりも練習量が少なくなる。練習量が少ないと、プロのスカウトの対象になる年齢までに、1万時間の練習を積み重ねることができない。そして1万時間という蓄積がなければ、プロの選手に必要なスキルを身につけることも不可能だ。
『Outliers 思考と思考がつながる 最適解がみえる頭の主になる方法』(マルコム・グラッドウェル、サンマーク出版)
モーツァルト、あの史上最高の音楽の神童でさえ、1万時間に到達するまでは本領を発揮することができなかった。練習とは、すでに優秀な人がするものではない。これから優秀になるためにするものなのだ。
1万時間の法則でもうひとつ興味深いのは、言うまでもないことだが、1万時間というのは膨大な時間だという点だ。まだ若いうちにこの練習時間に到達するのは、独力ではほぼ不可能だろう。
まずは、あなたに練習を促し、サポートしてくれる両親の存在が欠かせない。
貧乏でもダメだ。生活のためにアルバイトをしなければならない状況で、十分な練習時間を確保することはできない。
実際のところ、ここまでの練習量を実現するには、たとえばアイスホッケーのオールスターチームのような特別なプログラムに入るか、あるいはそれだけの練習量が可能になるような、めったにない幸運に恵まれる必要があるだろう。







