小さい頃からの親や周囲からの教育の結果、多くの女性たちが他人が敷いたレールを歩む人生を選んでしまう。周囲から期待された道を歩かないという選択肢を選び、本当に自分がやりたいことをやるために必要なこととは。※本稿は、レシュマ・サウジャニ『完璧じゃなくていい、勇気ある女になろう』(海と月社)の一部を抜粋・編集したものです。
人を優先してばかりいては
現実の社会で通用しない
「人生がずっと小学校のままだったら、女の子が世界を支配するだろう」
これはキャロル・ドゥエックの有名な言葉だ。ドゥエックの言うとおり、学校では完璧を目指すことがプラスにはたらくことも多い。でも現実の社会では、オールAなど存在しない。
わたしたちはみな、大人になるとルールが変わることに気づく。それもごく早いうちに。
そして不意に、これまで教えられてきたことがことごとく裏目に出てしまう。これまでは成果のあった行動──思いやりをもち、物腰は柔らかく、愛想よくするといった行動が、いきなり、とてつもない負担を強いるものだと実感するのだ。思いやりがあるだけでは、昇進もできなければ権限のあるポジションも得られない。礼儀正しく口数少なくしていても、ムカムカした思いが残るだけだ。
ある会議に出席したとき、ひとりの女性にこう聞かれた。「どうやったら完璧になろうともがかないですむんでしょうか。社会は完璧であることを求めているのに」。そのとき、わたしはこう答えた。
「高校や大学ならそれでほめられるかもしれませんが、社会に出たら違います」。そう、現実の社会で求められるのは完璧さじゃない。勇気だ。
完璧を求めれば、安心感の得られる道を歩んでいけるかもしれない。けれど勇気を出せば、自分が本当に歩みたかった道に行ける。
完璧であれば、束の間気分はいいかもしれない。でも、困難に直面したときや、とても乗り越えられないような深い喪失感に見舞われたときに、力を与えてくれるのは勇気だ。完璧ではなくても、勇気があれば、上っ面の人生じゃなく、心の底から楽しいと感じられる、正真正銘自分の人生を、自分の手でつくりあげていくことができる。
周囲から期待された道を
歩かないという選択肢
「20代後半になるまで、人生に選択肢があるなんて思いもしなかったわ」とルースは言った。