ビル・ゲイツ Photo:Bryan Bedder/gettyimages
天才は努力と才能の掛け算で生まれる。そう信じられてきたが、世界的実業家のビル・ゲイツの10代をたどると、その背後には“偶然の連鎖”が存在していたことが見えてくる。彼を形づくった多くの偶然とは?※本稿は、ジャーナリストのマルコム・グラッドウェル、桜田直美訳『Outliers 思考と思考がつながる 最適解がみえる頭の主になる方法』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。
ゲイツは頭脳と野心で上り詰めた
早熟の少年を魅了したものとは
ビル・ゲイツの個人史を見ていこう。彼の物語も、ビートルズのそれと同じくらい有名だ。数学が得意で優秀な若者が、コンピューターのプログラミングを発見する。ハーバード大学を中退し、友人たちとともにマイクロソフトという名前の小さなコンピューター会社を始める。そして、優秀な頭脳、野心、ガッツだけを頼りに、その小さな会社をソフトウェア界の巨人にまで育て上げる。これが大まかな流れだ。
さて、ここからさらに詳しく掘り下げていこう。
ゲイツの父親はシアトルの裕福な弁護士だ。そして母親は成功した銀行家の娘。幼少期のビルは早熟で、学校の勉強によく退屈していた。そこで両親は、息子を公立学校に通わせるのをやめ、7年生からレイクサイドという学校に転入させた。レイクサイドは、シアトルのエリート家庭の子どもが通う私立学校だ。
そして、ゲイツがレイクサイドに来て2年目の中ほどになると、学校にコンピュータークラブができた。
「毎年、学校の母親会が慈善バザーを開催していたんだ。そのたびに、バザーで集まったお金をどうするかということが問題になった」と、ゲイツは当時をふり返る。







