働く高齢者写真はイメージです Photo:PIXTA

2019年、金融庁の報告書で発表された「老後2000万円問題」。夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦が定年退職後に20~30年間の老後生活を送る場合、公的年金だけでは約2000万円が不足するという試算だが、これを解決するには定年後も働くのがいい。しかし、高齢者となっても仕事は見つかるのか、フルタイムで働くのがキツい人向けの求人はあるのか。特定社会保険労務士にしてファイナンシャルプランナーの筆者が、老後の悩みに答える。※本稿は、特定社会保険労務士の首藤由之『これだけ差がつく!老後のお金 55歳から15年で2500万円をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

働く期間を延ばすことは
金銭面以外にもメリットが

 働くか働かないか、もちろんそれ自体が自由です。

 でも、健康で体が大丈夫ならできれば当分は働いたほうがいい、というのが本記事のスタンスです。

 65歳以降の「働く」を考えてみると、いいことばかりが浮かんでくるからです。

 まず、働けば収入が得られるという点で、「経済的なメリット」が挙げられます。

 仕事の内容やどのぐらい働くかによって違いはありますが、働いた分だけ生活費やお小遣いの足しが得られます。

 家にこもるのではなく、外に行って体を動かせるという点では、「体力的なメリット」もあります。男性の健康寿命は72歳ぐらいですが、仕事をして体を動かしていれば、健康でいられる期間を延ばすことができるかもしれません。

 働くということは、職場があるということです。そこには同僚(人)がいます。すると、どうでしょう。

 仕事をしていると、進め方をめぐって同僚と打ち合わせをするでしょうし、一緒にランチに行ったり、仕事の合間に雑談をしたりするなど、あらゆる面で人と接します。また、社外のお客さんと接する場合も同様です。