櫻井敏之・ヤマト運輸常務執行役員(宅急便事業統括)
ヤマト運輸(本社・東京都中央区、阿波誠一社長)は、スピードを切り口にした宅配ニーズの取り込みを強化する。「宅急便当日配送サービス」を開始し、近距離を中心としたスピード配送需要に対応。また「同一都道府県内運賃」を新設し、コストを適正に反映した運賃により多様化する宅配需要の掘り起こしを狙う。(カーゴニュース編集部)
追加料金550円で始まった
新しい当日配送サービスとは?
ヤマト運輸の「宅急便当日配送サービス」は、午前中までにサービスを提供している全国約2300カ所の営業所に荷物を持ち込むと、最短で当日14時以降の指定時間帯に荷物を届けるサービス。未収契約ではなく、届出運賃を利用する個人や法人が対象となり、宅急便の規定運賃+追加料金550円(沖縄県のみ宅急便運賃+330円)で利用することができる。
当日配送エリアは、荷物を受け付けるエリアごとに異なる。例えば東京都内発の場合、関東7都県と山梨県で当日18時以降での時間帯指定配達が可能となる。当日配送はもともと、一部のエリアや営業所でローカルなサービスとして提供していたが、今回、全国一律のサービスとして宅急便のサービスラインアップに追加した。
その狙いについて、同社常務執行役員(宅急便事業統括)の櫻井敏之氏は「利用者のニーズが多様化するなかで、きめ細かく『変化を拾う』ことが目的。これまではローカルレベルでの対応にとどまっていたために、利用者へのアナウンスが不十分で、ニーズを取り切れていなかった」と説明する。
利用シーンとして想定しているのは、当日朝に収穫した野菜や魚などの生鮮品を店舗や個人宅に届ける、または、観光客が午前中にスーツケースを持ち込み、当日中に届けることで手ぶら観光を楽しむ――など。法人顧客の場合も、カタログ類やサンプル品を急いで届けるといった速達ニーズは少なくないという。
新サービスを投入することで、ラストマイル配送を担うSD(セールスドライバー)への追加的な業務負荷が懸念される。







