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2023年、名目GDPランキングで日本はドイツに抜かれ4位に転落した。優れた技術力を持つ日本の中小企業が海外進出をためらうのに対して、ドイツでは知名度の低いファミリー企業が、商品を輸出し国全体の経済を支えている。この違いはなぜ生まれるのか?※本稿は、経済産業研究所上席研究員の岩本晃一『高く売れるものだけ作るドイツ人、いいものを安く売ってしまう日本人』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
ドイツ経済を支える
「隠れたチャンピオン」の正体
日本の中小企業の多くは大企業の系列下にあるため、ROA(Return On Asset=総資産利益率)が低く、ドイツには系列がなく、中小企業は自由に高付加価値商品を販売可能なため、ROAが高いとされている。
三菱総合研究所の吉村哲哉研究員(当時)らは、2014年にドイツの「隠れたチャンピオン」(編集部注/一般には知られていないが、特定のニッチな分野で世界トップクラスのシェアと実績を持つ中小企業)の輸出に関し、おおよそ次のように分析を行った。
『グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業』に取り上げられている隠れたチャンピオン企業1307社の売上高の平均は約400億円で、売上高合計が50兆円超ほど(1307社×400億円)。従業員数平均は2000人。これら隠れたチャンピオンの輸出比率は6割以上と推定される。
そうすると、輸出額の合計は約30兆円程度であり、これは日本の自動車・同部品の輸出額(14兆円)の約2倍に相当する。







