ドイツの隠れたチャンピオンが、いかに多くの輸出を行い、ドイツ経済を支えているか、わかるだろう。

最初から海外展開を想定して
プロダクト開発を進める

 また、難波正憲名誉教授、藤本武士教授(立命館アジア太平洋大学)らは、ドイツ語圏の隠れたチャンピオンと日本のGNT(Global Nitch Top)との行動比較を2013年から2017年にかけて行った。

 ドイツ語圏内に立地する隠れたチャンピオン16社を訪問調査し、日本のGNTの20社と国際化行動を比較している。GNTとは、「世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、国際情勢の変化の中でサプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する優良な企業など」(経済産業省)のことである。

 日本のGNTは、最初は国内市場で販売するが、国内が飽和すると、輸出を考える。輸出は、まず商社(地元の中小商社)に依頼して海外進出するが、慣れるにしたがって自社で海外と直接取引するようになる。

 調査を行った企業は、創業からここに至るまで中位数で39年を要している。日本企業は、国内市場を重視し、慎重に海外事業を進めるため、GNTに育つまで長期間を要する。

 一方、ドイツ語圏の隠れたチャンピオンは、そこに至るまでの16社の中位数は11年、短いケースでは1~3年であった。最初から外国での販売を想定した製品を開発し、一気に外国で商品を売り出す。それだけ海外に出ていくスピードが速いということである。

いまだに鎖国精神が
抜けきらない日本の企業

 日本と欧州の中小企業の海外活動(輸出、対外投資)を比較すると、日本企業は、ほとんど外国に出かけて行かない。

 中小企業の人たちと話をしていても、外国に行ったことがなく、外国に行った経験があるとしても旅行社のツアーに参加して集団行動をしただけ、外国語(英語)ができないので外国人と話をするのが怖い、という話をよく聞く。

 日本は島国だと言われても仕方ない行動になっている。

 中には、海外に積極的に進出している企業があるが、そのような会社は、だいたい社長が外国好き、新しいもの好き、というところが多い。