ネット企業の失敗写真はイメージです Photo:PIXTA

190カ国に展開する世界最大級のネットオークションサイトである米eBay(イーベイ)。欧米では圧倒的な存在感を持つ同社ですが、主力のネットオークション分野では日本参入に成功していません。なぜイーベイは日本で負けたのか。同社に加えて、ヤフオク、メルカリの戦略をひもときながら、日本企業が日本市場を守り、さらに海外展開に打って出るための重要なヒントを探ります。(グロービス経営大学院 テクノベート経営研究所所長 吉田晃宗)

日本に根を下ろせなかった
イーベイのネットオークション

 米イーベイが日本のネットオークション市場に初めて挑んだのは2000年。NECと提携して本格参入を果たしました。

 しかし、2002年には日本市場からの撤退に追い込まれます。

 要因としてよく語られるのは、ヤフーの「先行参入」です。

 ヤフオク(当時は「Yahoo! オークション」)はイーベイより約5カ月早くサービスを開始し、「Yahoo!」ブランドを武器に一気にユーザーを獲得していきました。

 オークションは「売り手と買い手が集まるほど価値が高まる」ネットワーク効果が強い分野です。初期の利用者数の差が決定的な格差につながる構造のため、わずか数カ月のリードでも勝敗を左右する可能性があります。日本では圧倒的なブランド力を持つ「Yahoo!」の知名度と安心感が、ユーザーの初期流入を大きく後押ししました。

 対するイーベイは、参入遅れに加えて、ある重大なミスを犯していたように思われます。